配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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研究開始時の研究の概要 |
近年, 自動運転や高度センシングをはじめとする次世代技術や超精密加工への応用に向け, 高出力単一モード半導体レーザの開発が進められている. 従来の半導体レーザでは, 高出力化に向けて発光面を拡大すると多モード発振が生じてしまい, 輝度の劣化に繋がることが課題とされている. 一方, 数学のトポロジーの概念を光に応用することで, 原理的には安定な単一モード動作が期待できる. 本研究では, トポロジーに守られた光を活用することでより高輝度・高安定な単一モードレーザを実現し, 半導体レーザの性能に革新的進化をもたらすことを目指す.
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研究実績の概要 |
次世代の半導体レーザの需要が高まる中, 我々はトポロジカルに守られた光の状態を活用し, 革新的なレーザの実現を目指している. まず, 1次元結合共振器アレイを用いた0次元トポロジカルエッジモードレーザの高安定単一モード動作条件および作製誤差の影響を詳細に解析した. このモデルの解析には, Su-Schrieffer-Heeger(SSH)模型を用い, 各モードのレーザ発振しきい値を評価して高安定単一モード動作環境を特定した. さらに, SSH模型を拡張し, サイト間の結合定数を空間的に徐々に変調した単一モードトポロジカルレーザの解析を行い, これにより, より安定な単一モード動作が可能になると期待される.
1次元での知見をもとに, 2次元高次トポロジカル絶縁体を用いたトポロジカルレーザ構造の探索を行った. 特に, 2次元四重極トポロジカル絶縁体を2層および3層に積層した構造において, Benalcazar-Bernevig-Hughes模型を用いてトポロジカルコーナー状態とトポロジカル不変量の解析を行った. 具体的には, トポロジカル相の異なる層を上下に積層すると, 層間結合の強度によってトポロジカルコーナー状態数の変化を伴うトポロジカル相転移が生じることを発見した. さらには, トポロジカル相転移を特定するトポロジカル不変量の計算には, 近年導入された多重極カイラル数(MCN)を用いて評価を行い, 従来使用されている手法では見落とされていた新たなトポロジカル相を特定した. また, ゼロエネルギーにおけるコーナーモードの数とMCN数が正確に一致することも確認し, MCNの有効性を示した. 本成果は国際学会にて発表し, 現在, 学術誌への論文投稿準備中である.
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