研究課題/領域番号 |
22KJ0712
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補助金の研究課題番号 |
21J40150 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 千葉大学 (2023) 東京大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
天井 響子 千葉大学, 看護学研究科, 特任准教授
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 援助要請 / 中学生 / 思春期 / メンタルヘルス / 介入 / 効果の持続性 / 未来展望 / 信頼 / 学校適応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,未来展望,ポジティブ思考,他者信頼の保護的効果に着目し,非援助要請者に対する新たな心理的健康支援方法の提案を目指して4つの調査を実施する。研究1では,中学時代のつらい経験を乗り越えた人の動画が中学生の未来展望とポジティブ思考に与える影響を検証した。研究2では中高生が信頼できる人を見つけるまでの過程を質的に調査した。今後はつらい経験を乗り越えるまでの異なる側面(コーピングや他者信頼)に焦点を当てた複数の動画を制作し,動画の意図の通りコーピングや信頼が向上するか(研究3)および介入によって効果の持続性が異なるか(研究4)を検証する。これらの結果を統合し,実際に活用可能なツールを開発する。
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研究実績の概要 |
今年度は,昨年度実施した「モデリング効果を意図した動画が未来展望およびストレスに対するポジティブ思考に与える効果」の研究結果に基づき,社会実装に向けて知見を深めるための実験を実施した。介入効果の持続性および効果を持続させる刺激を検討したものである。昨年度実施した研究により,「中学時代のつらい経験を乗り越えて活躍している大人が語る動画を見ることで,中学生の未来展望とストレスに対するポジティブ思考が上昇する」ことが明らかになり,動画を用いた心理的健康状態への介入の可能性が示されたが,その効果は一時的なものであった。そこで今年度は,同じ動画を用い,動画視聴後に未来展望とポジティブ思考が上昇した者のみをスクリーニングした上で本調査を実施した。調査はインターネット調査会社を通して高校生と大学生に対して行った。スクリーニングへの協力者は5,242名であり,そのうち1)動画視聴後に未来展望とポジティブ思考が上昇し,2)全てのダミー質問へ正しく回答(つまり調査に真摯に参加)し,3)縦断調査への参加を承諾した者259名を本調査へ招待した。本調査では,協力者は実験条件A(未来展望の効果を明示+毎日の口頭刺激あり),実験条件B(未来展望の効果を明示+毎日の口頭刺激なし),統制条件のいずれかにランダムに振り分けられ,1ヶ月間週1回の縦断調査に回答した。初回(1時点目)の回答者は実験条件Aが93名,実験条件Bが95名,統制条件が77名であり,最終(4時点目)の調査に回答した協力者は,実験条件Aが84名,実験条件Bが77名,統制条件が58名であった。現在はデータのクリーニングと分析を行っている。尚,「モデリング効果を意図した動画が未来展望およびストレスに対するポジティブ思考に与える効果」の論文は国際誌への投稿準備がほぼ整った段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年計画の2年目である今年度は,昨年度まで蓄積したデータの学会発表と論文化を予定通り完了し,また1年目に実施した研究の知見を深めるための継続研究を行った。本研究課題の目的である研究知見の社会実装を可能にするためには更なる検討が必要ではあるが,研究の実施と成果発表という点においては概ね順調な進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は3年計画の最終年度となるため,成果発表が中心となる。まずは1年目に実施したインタビュー調査,2年目に実施した介入の持続性に関する調査の2本の論文化を目指し,本研究課題で収集したデータと知見を着実に公開していく。7月にはInternational Congress of Psychologyでの発表も予定している。また,社会実装の形式としては,中高生や学校単位で活用可能なICTアプリの開発,並びに,中高生を支援する立場の教員や保護者等を対象とした書籍の執筆を計画している。
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