研究課題/領域番号 |
22KJ0717
|
補助金の研究課題番号 |
22J00145 (2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
横手 康二 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | マーケットデザイン / マッチング理論 / 離散凸解析 / マッチング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究が取り組む問いは、「限られた財をどのように分配するのが望ましいのか」である。ワクチンや保育園の受け入れ枠等、適切な分配が求められる財は数多い。市場を介して財を分配する方法には、公平性の観点から様々な問題があることが指摘されている。市場を介さずに財を分配する場合、誰が何を受け取るのかを記述する規則(=アルゴリズム)を決める必要がある。本研究では、アルゴリズムを分析する離散数学と、分配の良し悪しを評価するマーケットデザインを融合することで、財の望ましい分配方法を解明する。
|
研究実績の概要 |
当初の計画通り、離散凸解析をマーケットデザインに応用する研究を進めた。二つの成果を詳述する。 一つ目は、離散の凹性と補完性の関係についての研究である。非分割財(即ち、細かく分けて消費することができない財)を需要する消費者の選好は、財を代替的とみなす「代替的な選好」と、財を補完的とみなす「補完的な選好」に大別される。既存研究では、代替的な選好と「M凹性」と呼ばれる離散凹性が同値であることが知られていた。本研究では、補完的な選好と「L凹性」と呼ばれる離散凹性が同値であることを証明した。この定理は、経済学と離散数学という異なる分野を橋渡しする意義がある。本成果は査読付き雑誌に掲載された。 二つ目は、前年度から引き続き、離散の凹性をマッチング市場に応用する研究を進めた。現実のマッチング市場では、近年、多様性を考慮しようという動きが盛んである。この状況を捉えるため、市場参加者が多様性についての選好をもつモデルを構築した。そして、選好が「ordinal concavity」と呼ばれる離散凹性を満たすとき、望ましいマッチングを発見するアルゴリズムを構築できることを証明した。既存のマッチングアルゴリズムの応用範囲を広げたことに意義がある。本研究成果は国際学会 EAAMO2023 においてTheory Track Paper Award を受賞した。また、2023年8月に早稲田大学で開かれた国際学会『ICIAM2023』と、2024年3月に京都大学で開かれた学会『ゲーム理論ワークショップ2024』で研究報告を行った。さらに、ordinal concavity と選好の代替性との間の同値性についての論文も執筆した。この論文は経済学の Top 5 journal の一つである American Economic Review から revision の依頼を受け、修正版を5月24日に再投稿した。
|