研究課題/領域番号 |
22KJ0718
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補助金の研究課題番号 |
22J00155 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 陽平 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 地方政治 / 吏党 / 第三党 / 選挙 / 二大政党制 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は明治期における吏党を中心とする第三勢力の支持基盤を分析するものである。吏党は第三党として議会のキャスティングボートを握り、政党の突出を抑制することで、藩閥と政党の勢力均衡の要としての役割を果たした。しかし、戦前二大政党に結実する伊藤・桂新党運動が展開するとこの立場を放棄し、新党運動の中心となる。1890年代末から政党の支持基盤が自由党系と進歩党系に分岐することが指摘されているが、第三勢力がいかなる地盤に立脚して政治基盤を確保したのかについては分析されてこなかった。本論は吏党を中心とする第三勢力の支持基盤と戦前二大政党成立に帰結する政界再編成がどのように連動していったのかを分析していく。
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研究実績の概要 |
議会開設から大正政変までの日本の政治体制は、藩閥官僚と政党の妥協・提携によって安定していた。この体制を支えていたのが第三党の吏党系勢力である。彼らが議会のキャスティングボートを握って自由党系、改進党系の政治的突出を抑制することで、藩閥と政党の勢力均衡を作り出していた。こうした政治行動の背景には、政党による党派的行動・政治腐敗に対する批判意識が存在していた。しかし、吏党は次第にこの役割を放棄し、戦前二大政党を作り出した伊藤・桂新党運動に傾斜していく。本研究はこの吏党の戦略転換を地方政治の観点から捉えなおすことで、戦前二大政党が成立した社会的背景を検討するものである。 本年度は前年度から引き続き、吏党の支持基盤であった山口県、熊本県の地域新聞『防長新聞』、『九州日日新聞』の収集を進めた。『防長新聞』に関しては議会開設から大正政変まで、『九州日日新聞』については議会開設から1900年までの主要な記事を収集した。これによって山口県に関しては議会開設後の大まかな政治状況を把握することが可能となった。 並行して、前年度から進めていた第三党・中立・無所属候補への投票数のデータ入力・点検を進めた。さらに中立会派議員の経歴もデータとして入力した。 第三党・中立・無所属議員に関する史料群を収集するため、山口県、福岡県での史料調査もおこなった。また、山口県の場合、長州閥の官僚が県政に大きな影響を与えているため、国立国会図書館憲政資料室所蔵の史料群の調査も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
労力のかかる新聞史料の収集、データ入力は謝金によって助力を得て、順調に作業を進めることができた。また、山口県に関しては『防長新聞』の記事収集が完了したことで、議会開設から大正政変までを分析することが可能となった。さらに山口県文書館所蔵の史料群を継続的に調査している。これらの調査の成果として論文を1本公表することができ、さらに研究報告も1回行なうことができた。
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今後の研究の推進方策 |
第三党・中立・無所属候補の第1回から第12回衆議院議員総選挙までの得票や各衆院選における候補者の経歴の傾向を把握することが可能になった。そのため、今年度は二大政党以外の第三極の支持基盤の全国的な動向を踏まえ、山口県、熊本県の状況を分析していく予定である。 具体的には山口県での一次史料の収集を継続しつつ、他地域に存在する第三党・中立・無所属議員の史料群を収集することで、第三極の支持基盤の全国的傾向と各地域ごとの異同を分析していく。特に山口県の事例に関しては積極的な論文化・研究報告を行っていきたい。
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