配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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研究実績の概要 |
本研究課題は, 幾何学的発展方程式や数理モデルの解析への応用を見据え, 高階放物型方程式に対する解析手法を構築することを目的としている. 上述の目的を達成するべく, 本年度は特に「4階線形放物型方程式を用いた, 高階幾何学的発展方程式に対する閾値型近似アルゴリズム」を取り扱った. ここで閾値型近似アルゴリズムとは, 時間発展する偏微分方程式の解の level set を用いて幾何学的発展方程式の近似解を構成するアルゴリズムである. 以下, 得られた成果について詳述する. 閾値型近似アルゴリズムを初めて提唱した Bence-Merriman-Osher (1992) では, 熱方程式を用いて平均曲率流の近似解を構成していた. 本研究では熱方程式の代わりに, ラプラシアンの摂動を加えた重調和熱方程式を用いることにより, ある高階幾何学的発展方程式の近似解を構築した. 上述の幾何学的発展方程式は一般次元に拡張した Canham-Helfrich 汎関数の勾配流と見做せる方程式である. 昨年度までの石井克幸氏 (神戸大学), 高坂良史氏 (神戸大学), 榊原航也氏 (金沢大学) との共同研究により, Taylar 展開を用いた閾値関数の導出等を行っており, 本年度は引き続き行った共同研究の結果を含め得られた成果をまとめ, 論文の投稿を行なった. また, 本研究で取り扱った閾値型近似アルゴリズムに対する変分的解釈について考察を行った. 具体的には, 今回使用した四階放物型方程式に対して定義される heat content の高次漸近展開を考察することにより, 今回得られた幾何学的発展方程式に対応した Canham-Helfrich 汎関数がある意味で自然に現れるものであることを見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述の「研究実績の概要」で記載した heat content の高次漸近展開は, 今回の研究成果で得られた閾値型近似アルゴリズムの収束証明で重要な役割を担うと考えて取り扱ったものである. 高次漸近展開については一定の成果を得ることに成功したが, 収束証明には至らなかったため, 「(3) やや遅れている」とした.
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