研究課題/領域番号 |
22KJ0741
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補助金の研究課題番号 |
22J00928 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
奥田 善之 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 下部マントル / ブリッジマナイト / 電気伝導度 / 化学組成 |
研究開始時の研究の概要 |
開発を行った高温高圧下電気伝導度測定手法を下部マントル主要構成鉱物ブリッ ジマナイト,ポストペロブスカイト相の電気伝導度測定に応用することで,世界で初めてこれらの鉱物の組成を振った系統的な研究を行う.これによって得られた各鉱物の高温高圧下電気伝導度の組成依存性データを用いて,観測で得られている電気伝導度プロファイルと比較を行うことで,世界初の下部マントルの鉱物量比および組成の電気伝導度からの制約を行う.
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研究実績の概要 |
下部マントルは地球体積の半分以上を占める最大の層であり,その化学組成・鉱物組成は地球全体の化学組成を支配する.下部マントルにおけるこれらの鉱物の 量比および組成はこれまで高温高圧実験により得られる鉱物の地震波速度と地球内部の地震波速度分布観測を比較することで推定されてきたが,そのような制約 のみでは下部マントルの鉱物の量比および組成の決定には不十分である.地震波速度と独立した物理量である電気伝導度は下部マントル鉱物の種類および組成に 敏感であるため,地球内部の電気伝導度構造と高温高圧実験により得られる鉱物の電気伝導度の比較を行うことで,地震波の情報だけでは決まらなかった下部マ ントルの鉱物の量比および組成を強く制約することができる.そのため本研究では下部マントルを構成する各鉱物の鉄やアルミニウム濃度(x),および圧力(P)温 度(T)を振った系統的な電気伝導度測定を行い,観測と比較することで地震波のみでは得られなかった下部マントルの鉱物量比・組成を精密に決定することを目的 とする. 本年度は研究計画書の通り以下の試料について高温高圧下電気伝導度測定を行った. 下部マントル第一主要構成鉱物ブリッジマナイトの電気伝導度測定 鉄とアルミを含む試料:ともに10%・無水,ともに10%・含水の2組成について, 100万気圧,3000 Kまで その結果,含水ブリッジマナイトは無水のものに比べて電気伝導度が~1桁高いことがわかった.これは下部マントル中のブリッジマナイトの含水量を推定するうえで重要な鍵となる結果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はおおむね研究計画調書の通り測定を行うことができた.ブリッジマナイトの測定結果から,試料の組成,含水量の違いによる電気伝導度の違いを観察することができた.また,前年度の課題として残っていた圧力拡張について,最新の技術を用いてメガバール(>100万気圧)を超える圧力における測定を行うことができるようになった.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の測定結果から下部マントルの深部までの各鉱物の電気伝導度の組成依存性を得ることに成功している.今後はまだ測定を行っていない最下部マントル構成鉱物であるポストペロブスカイトについての測定を行う. また,オスロ大学のMohn博士による理論計算の結果と比較を行うことで,各鉱物の電気伝導メカニズムの詳細を明らかにする.得られた結果を用いて下部マントルの鉱物の量比および組成の計算を行う予定である.
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