研究課題/領域番号 |
22KJ0750
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補助金の研究課題番号 |
22J01221 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分43060:システムゲノム科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三宅 敬太 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 光遺伝学 / 光受容タンパク質 / 近赤外光 / メタゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、シアノバクテリア光受容体シアノバクテリオクロム分子を、環境メタゲノムに対して網羅的に探索するための「既知の光受容体のデータベース・光受容体の分類アルゴリズムの構築」に取り組みます。そして、このデータベース・アルゴリズムを活用して、遠赤色から近赤外の長波長領域を感知する光受容体の発見を目指します。本研究で探索する遠赤色・近赤外光を感知する光受容体は、これまで主に神経学で活用されている光遺伝学技術を、他の生物学分野に展開することが期待されます。
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研究実績の概要 |
光遺伝学技術は、光で活性化される特定のタンパク質によって、生命現象を制御する手法です。この技術は特に神経科学の分野で広く使用されていますが、青色光を用いることによる組織深部への浸透性の低さや光毒性の高さという課題があります。本研究では、これらの問題を解決し、光遺伝学をより広範な生物学的応用に適用可能にするため、組織深部により効果的に透過し、低毒性の遠赤外から近赤外の長波長光を用いることを念頭に、長波長光を感知する新たな光受容体であるシアノバクテリオクロム分子(CBCR分子)の探索に焦点を当てています。 当該年度では、前年度において収集した110個のCBCR分子に関する分子情報を活用したCBCR分子の特性を推定する予測器の構築を目指しました。アミノ酸残基から、電荷、疎水性情報、そして言語モデルによる特徴量の抽出を行い、予測器の構築を行いました。しかしながら、現状、高精度な予測器の構築には至っていません。そこでバックアップとして計画していた110個のCBCR分子の分子系統解析による推定手法の再検討を行いました。系統解析では、マルチプルシークエンスアライメント、系統樹の推定手法の最適化を実践し、これまで行われてきた系統解析に対して、信頼性の高い系統樹の構築に成功しました。これにより、現在、前年度に行った16sアンプリコン解析から特定の光環境に生息する微生物のゲノム情報から、光受容体候補遺伝子を探索し、見出された候補遺伝子に対して、この系統樹を基盤とした分類を進めています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度において、CBCR分子探索に必要となる分子の特性情報に関して、2022年度までに既報済みで生化学的な分析がされた分子について包括した110個のCBCR分子データセットを構築しました。そこで二年度目である2023年度は、これらの特性情報と各CBCR分子のアミノ酸配列情報を組み合わせることによって、CBCR分子の特性を配列情報から推定する予測器の構築を試みました。配列情報の推定のためにまず配列情報からその特徴量を抽出しました。具体的には、各残基の電荷、疎水性情報、そして言語モデルを利用しました。しかしながら、現状いずれの方法を用いても高精度に配列情報から特性の推定が行える予測器の構築には至れませんでした。そこで、バックアップとして計画していた系統解析によるCBCR分子の分類・特性の推定という手法を用いることにしました。この手法を利用するためには信頼度の高い系統樹が必要であることから、マルチプルシークエンスアライメント、系統樹の推定手法の最適化を実践しました。これによってこれまで報告されている系統樹に対して、より信頼性の高い系統樹の構築に成功しました。現在、前年度に行った16sアンプリコン解析から特定の光環境に生息する微生物のゲノム情報から、光受容体候補遺伝子を探索し、見出された候補遺伝子に対して、この系統樹を基盤とした分類を進めています。当初の計画にあった予測器の構築には至れず、バックアッププランへと方針を切り替えたため、進展にやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2024年度は、特定の環境から見出されたCBCR分子の生化学的な分析を実施するこれによって新規CBCR分子の特性を明らかにする。また当初予定していた予測器についても引き続き検討する。これまでは生化学的な分析がされたCBCR分子のみを利用して予測器の構築を試みてきたが、系統解析されたことのあるCBCR分子も加えることで、合計、数百のCBCR分子の情報を基に予測器の再構築を試みる。2023年度にも数種のCBCR分子の報告があったのでそれらの情報も加えていく予定である。
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