研究課題/領域番号 |
22KJ0758
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補助金の研究課題番号 |
22J01446 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 神戸大学 (2023) 東京大学 (2022) |
研究代表者 |
堀内 啓佑 神戸大学, 工学研究科, 助教
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | マスハウジング / 住宅営団 / 住宅地計画 / 住環境 / 厚生施設 / 規格化 / 型計画 / 第二次世界大戦 / 同潤会 / 内務省 / 中村寛 / レイモンド・アンウィン / 分譲住宅 / 公営住宅 / 不良住宅地区改良法 / 改良住宅 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの近代国家では、都市化や工業化を経るなかで、安定した住宅供給と住宅水準の向上を目標としてマスハウジング体制の確立が目指された。その確立の過程では、①法制度の整備に向けた政策理論と、②「好ましい住宅(地)像」を規定するための計画手法という、二つの要素の構築が前提となった。本研究は、1915~65年頃の日本において、これらの構築に向けた検討が一体的かつ連続的に進められたという仮説のもと、この関係性や連続性を包括的かつ長期的視点から検証しようとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、1915年頃から65年頃までの時期を、日本のマスハウジング体制の形成期と位置づけ、この期間において政策理論や計画手法がいかに構築されたのか、その過程の全体像を探ろうとするものである。 二年度目にあたる2023年度には、主に昭和10年代(1935-45年)に着目し、日本で初めて全国的な住宅供給システムを整備した組織として知られる住宅営団の活動に焦点を当てた。研究の成果として主に以下の二点を得ることができた。 第一に、東京都北区立中央図書館所蔵の「佐々木家文書」を用いることによって、住宅営団東京支所の住宅建設事業の全体像を明らかにした。先行研究でも、同支所の建設事業の実態は部分的に把握されていたが、本研究によって、同支所によって終戦までに建設された全ての住宅地について、団地名称、供給先、建設戸数、総坪数、厚生施設の種類などが解明された。これらは、昭和10年代におけるマスハウジングの形成について考察を加えるうえで、極めて重要な基礎的データと言える。 第二に、同潤会代官山アパートの解体に伴い発見され、東京大学に所蔵されていた資料を用いることによって、第二次世界大戦が激化するなかで住宅営団が臨時規格として作成した「臨時日本標準規格」の内容を明らかにした。この規格については、これまで簡略な平面図しか見つかっていなかったが、本研究ではより詳細な平面図や、その他の図面一式を発見し、当時提唱された「型計画」の実態に関して分析を試みた。この研究は、昭和10年代後半における住宅計画の様相の解明に寄与するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の作業として、住宅営団に関する文献資料の渉猟と分析を見込んでいたが、従来知られていなかった資料を中心に、順調に文献資料の渉猟と分析を進めることができた。また、これらを踏まえて得られた成果については、日本建築学会の技術報告集(査読あり・掲載決定済み)や、同学会大会発表(投稿済み・未発表)で報告している。したがって、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
三年度目には、昭和20年代から30年代までの期間(1945-65年頃)に着目する。この時期には、建設省住宅局住宅企画課を中心として、住宅金融公庫法、公営住宅法、日本住宅公団法の整備や、これに伴う融資基準や標準設計の導入が図られている。一方、建築計画の領域では、西山夘三の「住み方調査」や吉武泰水の「使われ方研究」をはじめとした各種の実態調査が展開され、これらの成果が平面計画の策定などに応用されたことが知られている。一方、先行研究では戦前からの検討の連続性や、政策理論と計画手法に関する検討相互の関係性についての考察が十分になされていない。三年度目には、二年度目までの成果を踏まえつつ、これらの実態把握を進める。作業内容については二年度目とほぼ同様のものを見込んでいる。
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