研究課題/領域番号 |
22KJ0774
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補助金の研究課題番号 |
22J10322 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安原 瑛治 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | モダニズム / 環大西洋研究 / ラテンアメリカ / ビセンテ・ウイドブロ / ホルヘ・ルイス・ボルヘス / ラテンアメリカ文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1910-30年代ヨーロッパ・モダニズム研究においてこれまで周縁化されてきた、スペイン語圏モダニズムの独自性を評価する研究で ある。そのために、スペイン語圏モダニズムの先駆者ともいえるチリ出身の詩人、ビセンテ・ウイドブロの作品を分析し、くわえて、「超絶主義」と呼ばれる前衛運動に属した後進の詩人たち(アルゼンチンのホルヘ・ルイス・ボルヘス、スペインのヘラルド・ディエゴ)にウイドブロ がおよぼした影響を検証する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、まず、4-5月にかけて、アルゼンチンの詩人、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの作品を読解するとともに、入手した先行研究等関連資料を読み、1910-30年代の欧米圏モダニズム(前衛芸術)の重要な特徴であるキュビスムおよび生気主義への知見を深めながら、ボルヘスの作品をグローバルに位置づけることを試みた。 6月には、海外での資料調査を行った。6月13-16日、19-21日にかけて、米ミシガン州立大学Stephen O. Murray and Keelung Hong Special Collectionsにてボルヘスの手稿および関連資料をそれぞれ閲覧した。現行の全集には組み込まれていない初期作品、インタビュー記事、その他関連資料を閲覧し、前衛運動「超絶主義」をスペインからアルゼンチンに持ち込んだボルヘスの変遷を辿ることができた。 7-8月にかけて、前月の資料調査の結果を整理するとともに、あらたに関連資料を読み、20世紀初頭のグローバルな前衛美学に関する理解を深めた。また、前衛美学のトランスナショナルな伝播に関する先行研究を読み、それを活かしつつ、7月に、論文”Travelling Tradition: (Im)possibility of the Chilean Modernist Continuity of Huidobro, Parra and Bolano”を執筆した。同論文は、チリの詩人、ウイドブロが移民作家を含めた後続のチリの詩人たちに与えた影響を考察することで、彼の美学のトランスナショナルな流通を論じている。 研究期間全体を通じて、ウイドブロの唱導した前衛美学が、1910-30年代に、ボルヘスを介してアルゼンチンに流入した過程を分析することができた。また、「超絶主義」美学の独自性を検討するための着眼点として、同時代に世界的に流行した生気主義が有効であることがわかった。
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