研究課題/領域番号 |
22KJ0805
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補助金の研究課題番号 |
22J11511 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本田 元 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2022年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | ギリシア数学 / ギリシア天文学 / 球面幾何学 / アウトリュコス / エウクレイデス / テオドシウス |
研究開始時の研究の概要 |
古代ギリシアでは,紀元前4世紀までの数学の発展と同時期に,球面上の円弧の性質を幾何学的に論証する球面幾何学を応用した天文学が現れる.これまでの研究では,そのような球面幾何学に基づく天文学はギリシア天文学の初期の試みという認識に留まり,後2世紀のプトレマイオスの著作に結実するような,その後の天文学の発展との関係については論じられてこなかった.しかし,天文学に関する古代の著作や注釈書を見ると,球面幾何学に基づく天文学がその後の天文学の発展に少なからぬ影響を及ぼしていた可能性がある.この研究は,球面幾何学とそれを応用した天文学をギリシア天文学の発展史の中で捉え,その役割を明らかにすることを目指す.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,アウトリュコス,エウクレイデス,テオドシウスの著作の中で展開される前4-2世紀の球面幾何学・天文学がギリシア天文学の歴史の中でどのように位置付けられるか明らかにすることである. 前年度まで,アウトリュコス,エウクレイデス,テオドシウスの著作について,そのテクスト伝承と内容に関する検討を進めた.これらの著作の中でもエウクレイデス『ファイノメナ』に関して,彼以後に書かれた著作がテクストの伝承に影響を与えた可能性について,2023年5月に開催された日本科学史学会にて報告した. 今年度は,当初の計画通りに,前4ー2世紀の球面幾何学・天文学に関わる事柄が,後2世紀以降に書かれた数学書・天文学書の中で現れる箇所について検討し,これらが研究対象の著作と天文学的な内容,数学的な手法においてどのような関係を持つのか明らかにすることを目指した.具体的には,メネラオス『スファイリカ』,プトレマイオス『アルマゲスト』とテオンの『アルマゲスト』に対する注釈書の関連する箇所を訳出し,関連する他の著作や研究を参照しつつ検討した. 『アルマゲスト』1・2・8巻では,前4-2世紀の著作の内容が異なった仕方で論じられているが,テオンの注釈書と合わせてプトレマイオスの記述を検討すると,いくつかの箇所では文体上構成の改訂が疑われるものの,作図や球面上の円の性質,天球を回転させる操作において研究対象の文献の知識を前提とすることが分かる.一方,メネラオスとプトレマイオスの著作は,球面三角形という前4-2世紀の著作とは異なる図形を導入する点で異なるが,この球面三角形を用いる手法も前4-2世紀の球面幾何学に依拠するところが大きい.この前4-2世紀の球面幾何学と球面三角形を用いる後代の手法との関係について,メネラオス『スファイリ』を取り上げ,今年5月に開催される日本科学史学会にて報告を予定している.
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