研究課題/領域番号 |
22KJ0827
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補助金の研究課題番号 |
22J11900 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西 玲央 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 慢性腎臓病 / 8-OHdG / マロンジアルデヒド / 5-ALA / HO-1 / ミトコンドリア / 超音波検査 / 酸化ストレス / 糸球体濾過量 |
研究開始時の研究の概要 |
猫の慢性腎臓病は小動物臨床において高い罹患率を示す疾患の1つであり、発症・進行には酸化ストレスが深く関与することが知られているが、その詳細は不明である。抗酸化物質の1つである5-ALAは加齢に伴い産生量が低下することが報告されており、5-ALA合成酵素がヘテロ欠損したマウスでは血清中酸化ストレスマーカーの上昇や糸球体濾過量の低下、近位尿細管上皮細胞のミトコンドリアの障害が認められることを申請者によって明らかとなっている。酸化ストレスとミトコンドリア障害は深い関連を持つことから、5-ALAの投与によって腎臓病の発症・進行を抑制できるのではないかと考えた。
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研究実績の概要 |
慢性腎臓病に罹患した猫の血液/尿を収集し、酸化ストレスマーカーである8-OHdG濃度とマロンジアルデヒド濃度を慢性腎臓病のステージごとに測定した。その結果、慢性腎臓病初期ステージでは8-OHdG濃度およびマロンジアルデヒド濃度に有意な変化は認められなかったが、慢性腎臓病の進行した群の血液では、健常猫と比較して8-OHdG濃度およびマロンジアルデヒド濃度が有意に上昇していた。一方で、尿ではいずれの群にも有意な変化は認められなかった。このことから、8-OHdG濃度およびマロンジアルデヒド濃度は進行した慢性腎臓病の猫の血液において上昇することが示された。この内容を含む論文はJournal of Feline Medicine and Surgeryにて発表された。抗酸化物質5-ALAの合成酵素であるALAS1遺伝子のヘテロ欠損マウスにおける腎障害を評価し、ALAS1遺伝子ヘテロ欠損マウスでは8-OHdGの血清中濃度、糸球体濾過量の低下を認めた。同マウスの腎臓において、抗酸化分子の一種であるHO-1蛋白発現の低下が認められ、腎組織ではミトコントドリアの形態異常を含む微形態学的変化が観察された。同マウスに5-ALAを反復投与した群では病態の改善が認められ、腎臓における5-ALAの重要性を明らかにした。以上の内容は学術誌へ現在投稿中である。また、米国獣医画像診断専門医と協力し、超音波検査を用いて慢性腎臓病に罹患した猫で、血液検査では現れないほどの微細な異常を検出する研究を遂行した。本検査では腎臓の評価に術者によって差異が生じないことを確認し、症例データを蓄積した。また、CT検査を用いることで犬の門脈体循環シャントのタイプによって腎腫大の度合いに有意差があることを証明した。これはVeterinary Radiology & Ultrasonographyで発表済みである。
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