研究課題
特別研究員奨励費
磁気再結合とそれに伴う粒子加速過程の解明を目指す上で、太陽フレアは多波長で明るく詳細な観測が可能なため最適な観測対象である。本研究では、鍵となる加速の現場である再結合領域周辺からの希薄な硬X線放射観測実現を目指し、国際共同ロケット実験FOXSIの4回目の打ち上げ FOXSI-4に向け、1 keVのエネルギー分解能と20 um 以下の位置分解能を兼ね備えた新型CdTe両面ストリップ焦点面検出器の開発を行う。並行して空間分解能はないものの軟X線帯域で高いエネルギー・時間分解能でフレア観測を実現した超小型衛星MinXSSのデータ解析を行い、粒子加速に伴う熱的・非熱的放射の性質を整理、定式化を進める。
国際共同太陽観測ロケット実験FOXSIの4回目の打ち上げ、FOXSI-4に向け新型CdTe-DSD検出器: Wide-gap CdTe-DSDを開発、打ち上げに向け統合試験と組み込み作業を行った。昨年度では、ギャップによる波高値の減少を考慮したエネルギー再構成方法と、隣接ストリップ間における電荷分割現象を考慮したサブストリップレベルでの位置再構成方法を構築することで、0.9 keVのエネルギー分解能(FWHM)と~20 umの空間分解能が実現できることを示し、 FOXSI-4の要求性能が満たすことを確かめた。今年度では、ミネソタ大学に滞在し、FOXSI-4で観測対象となるフレアの高い計数率に対応すべく、物理計測用FPGAボードと通信規格SpaceWireを組み合わせた高速データ取得システムを現地のエンジニアと密に議論しながら構築、無事4台の検出器の動作制御・データ取得に成功した。また、カリフォルニア大学バークレー校に滞在し統合試験、さらにアラスカで打ち上げにむけ最終試験を行った。並行して、超小型衛星MinXSSの太陽観測データの解析を推し進めた。昨年度は、硬X線観測衛星RHESSIを組み合わせた広X線帯域スペクトル解析を初めて実現し熱的放射の多温度構造の時間発展追跡に成功した。今年度は非熱的放射のべきの時間発展と、元となる加速電子の分布・輸送機構との関連性を探るため、2ゾーンモデルによるフォッカープランク方程式の数値計算を実装、様々な電子加速過程や、エネルギー損失・逃走過程を組み込み実験データとの比較・検証を行った。その結果、非熱的成分のスペクトルべきとフラックスの関係が、同じフラックスでも増光段階の方が減少段階よりもべ きはハードになる“時計回り”上に時間発展していること、及びその挙動を説明するには、入射加速電子のべきとフラックス両方が変化する必要があることを示した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (43件) (うち国際学会 14件、 招待講演 1件) 備考 (5件)
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