研究課題/領域番号 |
22KJ0883
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補助金の研究課題番号 |
22J12773 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井澤 佳織 (2023) 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(PD)
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特別研究員 |
井澤 佳織 (2022) 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 歴史的建築物 / 保存再生 / 意思決定 / 数理最適化 |
研究開始時の研究の概要 |
都市開発において、建造物の所有者や開発事業者だけでなく、近隣住民、行政、利用者などの関係主体間での意見の競合は茶飯事である。ことに、歴史的建造物の保存活動においては、文化財的側面からの評価と不動産的側面からの評価との競合が顕著でありながらも、既往研究における当競合の構造や回避に関する体系だった知見は少ない。そこで本研究では、文化財的評価に立脚した保存活動と不動産的評価に立脚した経済活動の競合関係に着目し,関係主体の活動における最適な意思決定を数理的に記述し分析することで、合理的な保存戦略を実現に向けて、関係主体による意思決定に関する数理的特徴に基づく知見を得ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は,保存活動と経済活動の競合関係に着目し,活動主体の最適な意思決定に関する数理的分析を通して,活用を前提とした合理的な保存戦略,つまり数理的特徴に基づく知見を得ることを目的とする.そのために,「A:保存活動により生じる経済性に基づく所有者単一の意思決定」,「B:保存活動により生じる経済性に基づく複数主体の意思決定」,「C:合理的な保存戦略の提示」の3つの着眼点を設定しているが,本年度では主にCに取り組んだ. Cにおいては,複数主体が競合関係に陥る状況に焦点を当て,歴史的建築物の保存の是非に関する意思決定を数理的に分析することで,合理的な保存戦略の実現に向けた数理的特徴に基づくこれまでに得た知見の考察を行った.建築保存取り巻くシチュエーションについて数理的手法を用いて得られた知見は,関係主体のふるまいが典型的なのかそれとも例外的なのかを示すのに有用である.よって,より効果的な施策を考案する一助になると考える.また,建築保存における経済活動と保存活動の競合について建築物の不動産的側・文化財的側面の両側面から数理的アプローチを行うことで,その体系的な特性を把握し可視化した点は,本研究の工学的な貢献として最も重要なものである.特に,建築保存に関わる主体にとって言語化困難であった経験を,誰が見ても同じ結論となるよう数理的手法を用いて可視化したことは,建築保存における合理的な意思決定を実現するにあたって特筆すべき成果である.
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