研究課題/領域番号 |
22KJ0928
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補助金の研究課題番号 |
22J14004 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石原 奎太 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | トポロジカル超伝導 / ディラック半金属 / 強磁性半導体 |
研究開始時の研究の概要 |
トポロジカルディラック半金属(TDS)は物理的な面白さはもちろんのこと、デバイス応用や超伝導体と組み合わせたトポロジカル超伝導のプラットフォームとしても注目されている。TDSの中で唯一の単元素材料であり、半導体基板上にエピタキシャル成長が可能なα-Snは作製の容易さや材料安定性、電子工学との整合性から注目を集めている。本研究では集束イオンビームを用いたSnベースのナノデバイスを作製、評価し、トポロジカル超伝導のプラットフォームを開拓する。
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研究実績の概要 |
主に超伝導体/強磁性半導体ヘテロ接合に関する研究に加えて、新しく超伝導体/トポロジカルディラック半金属ヘテロ接合に関する研究にも取り組んだ。上記2テーマは異なる材料系を用いてトポロジカル超伝導状態のプラットフォームの開拓を目指したものである。 超伝導体/強磁性半導体ヘテロ接合のテーマにおいてはGaAs基板上におけるAl/InFeAs構造の界面の最適化と新しくInP基板を用いて水分に強く微細加工に適したAl/InFeAs構造の成長を行った。GaAs基板上においては、AlとInFeAsの反応を抑えるためにInGaAs挿入層を導入し、透過電子顕微鏡像を用いて界面の品質を評価することで理想的な条件が分かりつつある。InP基板上においてはInAlAsバッファのInとAlの組成比を変化させることで、InFeAs層のキュリー温度及びAl層の結晶性が変化することが分かった。 新しく取り組んだ超伝導体/トポロジカルディラック半金属ヘテロ接合については集束イオンビーム装置を用いることでトポロジカルディラック半金属であるα-Snと超伝導体を組み合わせることで、超伝導体/トポロジカル材料構造の作製を試みている。今後、α-Snの膜厚を変えることで通常の絶縁体、トポロジカル絶縁体、トポロジカルディラック半金属と変化させ、デバイスの特性にどのような影響が出るか調べていく予定である。またデバイスの結晶方位依存性などより詳細な特性の評価も行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在2つのテーマを中心的に研究している。 一つ目のテーマである超伝導体/強磁性半導体ヘテロ接合の結晶成長と横型ジョセフソン接合の微細加工については、幅100nm程度の接合の作製に成功し、また30mKまで冷却できる希釈冷凍機の立ち上げを行ったが、結晶成長の条件出しに時間がかかっている。AlとInAsの反応を抑えるInGaAs層を挿入し界面の最適化を行っており、間もなく条件出しが終わる予定である。 2つ目のテーマであるSnベース超伝導体/トポロジカルディラック半金属ヘテロ接合については、集束イオンビームを用いてα-Sn/超伝導体構造を作製し、特異な超伝導が観測されており、現在測定を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
超伝導体/強磁性半導体ヘテロ接合については結晶成長、微細加工、極低温測定の条件が揃い、今後は本番用のサンプルおよびデバイスを作製し、ジョセフソン効果の観測を目指す。 具体的には超伝導体/強磁性半導体の界面の品質を透過電子顕微鏡像やアンドレーエフ反射の測定を通して確認し、接合幅100nm以下のジョセフソン接合を30mKの極低温で測定する。ジョセフソン効果を観測した後はジョセフソン接合のゲート変調まで行う。 またSnベース超伝導体/トポロジカルディラック半金属ヘテロ接合については特異な超伝導状態が観測されており、それらの起源の探求や横型ジョセフソン接合の作製などさらに研究を進めていく。具体的にはα-Snの膜厚を変化させ、通常の絶縁体、トポロジカル絶縁体、トポロジカルディラック半金属に変化させた場合のデバイスの特性の変化や、デバイス特性の結晶方位依存性などさらに細かな特性を調べ、アブノーマルな超伝導の起源の探求やデバイスの最適化を行う。
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