研究課題
特別研究員奨励費
フレキシブル超音波プローブは、小さいストレスで皮膚に貼り付けられるため、日常生活における健康状態のモニタリングに適用することが期待される。しかしプレキシブルプローブを用いた長時間モニタリングを実現するためにはいくつかの課題を解決する必要がある。本研究では、深層ニューラルネットワークを用いてリアルタイムに素子アレイ形状を推定する手法と、長時間皮膚に貼り付けた際のストレスが少ない超音波プローブの開発を行う。
本研究では,長期的に生体内部をモニタリングするためのウェアラブル超音波プローブの開発を行った.超音波プローブの内部には多数の超音波素子がアレイ状に配列されており,超音波撮像では素子と焦点の距離に基づいて各素子の送受信時間が制御されている.しかしウェアラブル超音波プローブではアレイが柔軟に変形するため従来のアルゴリズムのみで超音波撮像を行うことが困難であった.そこで本研究では取得された超音波信号から深層ニューラルネットワーク(DNN)を用いてアレイ形状を推定する手法を開発した.DNNの学習は,自然画像をもとにシミュレーションによって作成した超音波信号データセットを用いて行った.さらに実際の生体計測信号に対する形状推定性能を向上させるために,柔軟な超音波プローブを被験者の腓腹部,大腿部,腹部,腰部に貼り付けて取得された超音波信号を用いてDNNのファインチューニングを行った.学習済みのDNNを評価用の生体計測データに適用してアレイ形状を推定した結果,超音波素子の平均座標誤差は1.11mm,また推定アレイ形状を用いて再構成された超音波画像と正解形状を用いて再構成された超音波画像の平均構造類似度は0.748であった.これらの結果から本研究の提案手法を用いてアレイ形状を推定することによって,可変型プローブによる超音波撮像が可能になることが示された.最終年度ではウェアラブル超音波プローブを衣服に組み込み,日常生活における生体内部のモニタリングを実現するために,布を基板とする超音波プローブの開発を行った.布製プローブは,超音波素子アレイを無電解銅めっきによって電極形成された2枚のe-textileで挟み込むことで作製した.作製された布製プローブを被験者の頸部に貼り付けて連続的に超音波撮像する実験を行い,総頸動脈の拍動や被験者の姿勢変化に伴う内頸静脈の変形を可視化できることが示された.
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IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control
巻: 69 号: 12 ページ: 3232-3242
10.1109/tuffc.2022.3210701