研究課題/領域番号 |
22KJ0995
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補助金の研究課題番号 |
22J20047 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
猪塚 真志 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2024年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 免疫介在性疾患 / 全身性エリテマトーデス / 特発性炎症性筋疾患 / 全身性強皮症 / 混合性結合組織病 / 免疫表現型解析 / 遺伝子発現解析 / 全身性免疫介在性疾患 / 自己免疫疾患 / トランスクリプトーム解析 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
当研究室では、未だ明確な病因が不明である、全身性免疫介在性疾患の患者と健常人の末梢血免疫担当細胞を28種のサブセットに分け、細胞分画とゲノム情報を組み合わせた機能ゲノムデータベースImmuNexUTを構築している。本研究は、これらを用い、疾患の活動性や予後因子に関連する疾患特異的・細胞種特異的なマーカーの探索と機能解析を行うことで、免疫介在性疾患を層別化し、将来的に精密医療に繋げることを目的としている。
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研究実績の概要 |
免疫介在性疾患は、病態の不均一性が高く診断や病態把握が困難な場合がある。現在のところ、免疫表現型解析は疾患横断的な解析の有用性に関しては十分には明らかにされていない。本研究では、当教室で構築したImmuNexUTデータベースに蓄積された免疫介在性疾患の免疫表現型と遺伝子発現データの統合解析を行い、疾患活動性や予後に関連する免疫細胞と、遺伝子発現修飾を同定することを目指した。2023年度は、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性強皮症(SSc)、多発性筋炎/皮膚筋炎でみられる症候や検査所見が複合的に出現する混合性結合組織病(MCTD)に焦点を当て、免疫表現型に基づく層別化を行った。機械学習を用いてSLE、SSc、特発性炎症性筋疾患(IIM)の免疫表現型による分類器を作成し、それをMCTD患者に適用することで3つのサブグループへ層別化とした。分類されたサブグループ間での臨床的特徴や遺伝子発現データの比較を行うことで、MCTD患者内での病態の違いを明らかにした。本研究で用いた手法により患者を層別化することで、将来的に個別化医療に寄与する可能性を示すことができ、その成果はRheumatology誌に掲載された。さらに、SLE、SSc、IIM、MCTD、関節リウマチ、大型血管炎を含む計254名の患者に対して、免疫表現型に基づいたクラスター解析を行うことで、疾患横断的な患者層別化を行なった。得られたクラスター内の患者は、同一疾患内でも関節炎などの臨床症状を示す患者群の割合がクラスターによって有意に異なることを示し、免疫表現型に基づく分類の有用性を示唆した。また、各免疫細胞の遺伝子発現データとの統合解析を行い、各クラスターに特有のパスウェイを明らかにすることができ、病態に応じた高解像度の疾患層別化を実現することで将来の臨床現場における治療戦略に寄与する可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度(2022年度)は、種々の免疫介在性疾患の免疫表現型データを用いて、疾患横断的な免疫学的背景の共通性、相違性を明らかにすることを目的とした。その結果、免疫表現型に基づいた免疫介在性疾患の再分類が可能となり、各疾患の臨床情報との関連解析を行うことで、免疫担当細胞の共通した変化に基づいた疾患横断的・疾患内層別化の可能性を示した。2023年度は、各疾患における免疫担当細胞特異的なトランスクリプトームデータを臨床表現型に基づく層別化、臨床的特徴と統合して解析することで、クラスター解析により明らかになった各サブグループ間での疾患活動性や臨床的特徴の違いを示し、B細胞分化や骨髄球系細胞の増減がサブグループを規定する上で重要であることを明らかにした。その成果は国内外の学会で公表し、論文化の準備を進めている。また、2023年度は不均一性の高い免疫介在性疾患である、混合性結合組織病に焦点を当て、免疫表現型による機械学習を用いた患者層別化解析を行なった。その研究成果を国内外の学会での公表に加えて、論文化することができ、当初の目標以上に進捗している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度に、解析対象となる症例数を現在の254例からさらに拡充させることにより、疾患と密接に関連する免疫細胞サブセットとト遺伝子発現データの統合解析を、より詳細に行う予定である。また、本教室で新たに同定した、免疫介在性疾患と強く関連する新規細胞サブセットを解析に組み入れることで、より堅牢な患者層別化を行う。さらにはクラスター解析によって分類されたサブグループ間の差異を、免疫細胞サブセット割合、ト遺伝子発現、臨床表現型データを用いて明らかにし、将来の臨床現場での精密医療に活用できるよう、追加の解析を行う予定である。
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