研究課題/領域番号 |
22KJ1019
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補助金の研究課題番号 |
22J20711 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青本 柚紀 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2024年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | ジュディス・バトラー / ジェンダー / セクシュアリティ / フェミニズム / クィア理論 / クィア批評 / フェミニスト哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
ジェンダーという概念を抜本的に脱構築した哲学者、ジュディス・バトラー(1956-)の中心概念であるパフォーマティヴィティ概念と不安定性概念をその成立過程や変遷を詳細に分析し、バトラーが強く影響を受けているとされるデリダやフーコーの解釈の独自性を明らかにする。その際に同時にバトラー特有の脱構築的読解がいかにして既存のジェンダーやセクシュアリティに関する規範が仮構されたものにすぎないとするバトラーの主張に貢献しているのかも明らかになる見込みである。 また、バトラー自身の参照項の解釈の独自性の分析をもとに、バトラーの主要概念を美学へと応用する可能性を開くことを目的として研究を行う。
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研究実績の概要 |
2023年5月16日にErasmus University Rotterdam x University of Tokyo: Joint Seminar on Aesthetics(於東京大学)にて、『ジェンダー・トラブル』以前のバトラーの系譜学的探求について分析した口頭発表、"The Transition of Butler's Idea of Performativity Before Gender Trouble: From Phenomenology to Genealogy and Beyond"を行った。また、10月14日には、第74回美学会全国大会にて、「物質化の系譜:『問題=物質となる身体』における身体の境界画定について」の題で、バトラーによる質料と形相あるいは身体と魂の区別それ自体の系譜学的探求について口頭発表を行った。後者の口頭発表については現在論文化の準備を進めている。 また、2023年8月には、バトラーのパフォーマティヴィティ概念を援用した論考やブックガイド等の掲載された共編著、反トランス差別ブックレット編集部(青本柚紀・高島鈴・水上文)編『われらはすでに共にある 反トランス差別ブックレット』を上梓した。 その他、ヤマシタトモコ『さんかく窓の外側は夜』に見られるBLとAセクシュアル・Aロマンティックスペクトラムの緊張関係について論じた「夜がクィアする/夜をクィアする」(『ユリイカ』55(12),216-226)、長谷川白紙の作詞に見られるジュディス・バトラーお影響と性をめぐる表象の攪乱について論じた「破断と攪乱:長谷川白紙の詞におけるクィアネス」(『ユリイカ』55(17)171-184)等の論考を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査を通じて、研究において焦点を当てるべき点を変更する必要が見られたため。そのため、さらなる調査が必要となり、研究成果のアウトプットが十分に行われなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画を当初より変更して、バトラーが『ジェンダー・トラブル』において重視する戦略である攪乱について、その戦略としての効力と意義に焦点を当てる。それにあたって、法による権力と理解可能性の領域あるいは生存可能性の領域の形成についての分析を並行して行い、攪乱が法による権力に対するいかなるアプローチでありうるのかを明らかにする。
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