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金属・半導体界面による電気伝導率に独立した熱伝導率制御

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ1020
補助金の研究課題番号 22J20727 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分19020:熱工学関連
研究機関東京大学

研究代表者

KIM KYOUNGJUNG  東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワード3ω計測 / 異方性熱伝導率 / 二温度モデル / 平均自由行程低減率 / 熱電変換 / フォノンエンジニアリング / 時間領域サーモリフレクタンス法(TDTR) / 3ω法 / 第一原理計算 / モンテカルロ法 / 電子・フォノンカップリング
研究開始時の研究の概要

補助事業期間前半においては主に「①第一原理計算と二温度モデルによる超格子の熱伝導率計算」,「②3ω法と電気計測によるAl薄膜の熱伝導率計測」を行う.後半には当初の実施計画通り,「③κ―C同時計測法の実装及び高精度熱伝導率計測」を行う予定である.①には超格子の熱伝導率計算に加えて,先行研究による計算結果の妥当性検証とTDTRの計測結果との比較も含まれる.②では3ω法と電気計測による計測データ間の整合性の確認を行い,電気計測が3ω法を代替可能であるかを評価する.

研究実績の概要

本研究は金属・絶縁体超格子における熱伝導メカニズムを解明し、そのメカニズムに基づいた電子・フォノン間の独立した制御を目的とする。超格子内での熱伝導メカニズムの解明には3ω法と時間領域サーモリフレクタンス法(以下TDTR)を用いて精巧に計測された金属・絶縁体超格子の熱伝導率データと二温度モデル及びモンテカルロ法によって得られたシミュレーションモデルが用いられる。両データを交差検証することで、計測データをより正確に予測する熱伝導モデルを作成することで、超格子内の熱伝導メカニズムを解明する。TDTR法による精巧な熱伝導率計測においては計測に必要不可欠なトランスデューサーの熱特性をあらかじめ3ω法から見出す。当年度の研究では高い異方性を持つカーボンナノチューブ薄膜を対象に3ω法による面内方向熱伝導率計測の検証を行った。当初の仮説によれば、カーボンナノチューブ薄膜は面直・面内方向間だけでなく面内方向でもカーボンナノチューブの整列方向によって高い異方性を示す材料であり、計画された3ω計測ではカーボンナノチューブ薄膜熱伝導率の3次元成分が計測から現れると予測された。一方、計測結果から整列方向による差が大きく予想を下回った。その原因は3ω計測によって得られた計測データの解析において2次元熱伝導を考慮したモデルが使われたことにあると予想され、3次元モデルでの変更を行っている。
また、従来のTDTR計測および二温度モデルによる計測・解析が終わり、超格子内の熱伝導メカニズムを説明できる理論の方向性が立っている。金属・絶縁体超格子の熱伝導率は金属層の電子・フォノン間の相互作用による熱抵抗に由来するサイズ依存性を示すと同時に、金属層の結晶性に由来する層内のフォノンの平均自由工程抑制による効果も見られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

3ω法の従来のモデルには細線を無限に細い線として扱い、軸方向に無限に長い円筒型2次元熱伝導方程式が用いられている。一方、当年度のカーボンナノチューブ薄膜の計測結果から3ω法によるより正確な熱伝導率解析には軸方向の長さが制限された3次元モデルが必要だと判断されたため、新たな解析モデルの開発を行っている。
従来のTDTR計測による熱伝導率を二温度モデルを用いてラフに解析を行う段階で、モデルと計測データ間に従来の二温度モデルでは説明しきれない乖離が存在した。その原因は界面熱抵抗の働きが支配的だと予想した当時のモデルが、層内における熱キャリアーの散乱による効果が正確に評価できてないことにあると考えた。そこで、層内の結晶性に従って、層内での熱キャリアーの平均自由行程を抑制するパラメータを活用し、従来の二温度モデルを改良した。そのため、従来の計測結果の解析が遅延している。

今後の研究の推進方策

今後の研究においては3ω計測における3次元モデルの導入する。2次元モデルから3次元モデルへの移行には線による加熱を面による加熱として扱うモデルが必要であり2種類の方策が考えられる。一つは細線による加熱源を実際の計測と同じく、面による加熱として扱い有限要素法に基づいた数値的方法を駆使することで、温度変化を予測し、未知の熱特性を調べることである。もう一つは一点における加熱の効果を2次元上の面積分を用いて重ね合わせることで、3次元空間上の温度分布を予測する方法である。1つ目の方法はすでにCOMSOLなど多様な分野で用いられている方策であるが、従来の3ω解析システムには実装されてないため、ゼロベースから制作する必要がある。2つ目の方法は従来の1線による加熱を線積分していたモデルを少し改良すればよいので、2つ目の方法を先に試す予定である。また、改良された3ω法及びTDTR計測による金属・絶縁体超格子の熱伝導率計測を行う予定であり、その差から従来のTDTR計測において不明確なトラスデューサーの熱特性を用いることが計測結果にどう影響していたかが評価できる。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-28   更新日: 2024-12-25  

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