研究課題/領域番号 |
22KJ1026
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補助金の研究課題番号 |
22J20888 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 博信 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 開放量子系 / SU(N)ハバード模型 / 非平衡ダイナミクス / 量子多体系 / GKSL方程式 / フェルミハバード模型 |
研究開始時の研究の概要 |
冷却原子系の実験技術の進歩により、様々な量子多体系をシミュレートすることが可能になってきた。特に、散逸の強さを制御することによって、開放量子系を実現することができ、そのダイナミクスは近年注目されている。一方で、その理論的な解析は未だ発展途上である。本研究では、量子多体系の中でも特にSU(N)対称性を持つハバード模型に着目し、その基底状態・熱平衡状態や、散逸下の非平衡ダイナミクスを理論的に探究する。
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研究実績の概要 |
本年度の主な研究成果としては以下の3つが挙げられる:(1) GKSL方程式における非平衡定常状態の一意性、(2) 散逸のあるフェルミハバード模型における2体ダイナミクスの解明、(3) 拡張されたSU(3)フェルミハバード模型の基底状態の研究 (1) GKSL方程式における非平衡定常状態の一意性:量子開放系のマルコフなダイナミクスはGKSL方程式により記述される。長時間が経つと、系は非平衡定常状態に緩和するが、本研究ではヒルベルト空間が有限次元の場合に、一般のGKSL方程式に対して非平衡定常状態が一意になる十分条件と、その初等的な証明を与えた。また、その十分条件を用いて、位相緩和のあるXYZ模型やtight-binding模型の非平衡定常状態が、模型の持つ対称性のセクターの中で一意であることを示した。この十分条件は適用範囲が非常に広いため、様々な開放量子系の解析に用いることができる。 (2) 散逸のあるフェルミハバード模型における2体ダイナミクスの解明:本研究では、散逸のある1次元フェルミハバード模型における2体問題を、厳密な手法であるベーテ仮設法を用いて調べた。その結果、様々な初期条件に対して長時間ダイナミクスの解析的な表式を得た。 (3) 拡張されたSU(3)フェルミハバード模型の基底状態の研究:本研究では、2体のホッピングのあるSU(3)フェルミハバード模型の基底状態を、1次元、相互作用が引力の場合に調べた。まず引力相互作用が非常に大きい場合からの摂動論を用いて、基底状態は(i) 朝永Luttinger液体相、(ii) 相分離相、(iii) 電荷密度波相、の3つの相を示すことを発見した。また、有限の引力相互作用の場合にもこれらの結果が成り立つことをDMRG法により数値的に確かめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度の研究計画に挙げていた、散逸のある量子多体系における遅く緩和するモードの解析と拡張されたSU(3)フェルミハバード模型の基底状態の性質の研究に関して、複数の興味深い結果を得ることができた。それに加えて、GKSL方程式における非平衡定常状態の一意性に関する結果は、研究計画の時点では予想していなかったものである。本研究成果は、広いクラスの開放量子系に用いることができる便利な手法であるため、広く応用されることが期待できる。それらを総合して、今年度の成果状況は当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた結果をさらに発展させ、以下の2つのテーマの研究を行う。 (1)開放量子多体系の定常状態の解析:今年度の研究では、開放量子多体系の定常状態の縮退度に関する定理を示した。翌年度は今年度に行った研究をさらに深め、表現論の知識も利用することによって、この定理の非可換な対称性や非局所な保存量がある場合への拡張を目指す。 (2)拡張されたSU(3)フェルミハバード模型の基底状態の研究:今年度の研究では、拡張されたSU(3)フェルミハバード模型の基底状態を、1次元、相互作用が引力の場合に調べた。引力が大きい時の相図は得られたが、一方で引力が小さい時の相図は未解明である。ボゾン化によって低エネルギー有効理論は得られているので、それを調べることによって基底状態の性質を探究する。一方で、有効理論は粒子密度の自由度とスピンの自由度が結合した複雑なものであるため、解析的な結果が得られない可能性がある。その場合は数値的に基底状態の性質を探究する。
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