研究課題/領域番号 |
22KJ1079
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補助金の研究課題番号 |
22J21612 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
谷口 貴紀 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 弱い重力レンズ効果 / 宇宙の大規模構造 / パワースペクトル / 平面近似 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙の大規模構造の重力レンズ効果による遠方銀河像の歪みは、光では見えない暗黒物質を含んだ宇宙の質量分布を捉えることができるため、宇宙論において重要な観測対象である。本研究では、重力レンズ効果の高次統計量(バイスペクトル)を測定する手法を開発し、すばる望遠鏡Hyper Suprime-Camのデータに適用することで、暗黒物質のエネルギー密度をはじめとした宇宙論パラメータを精密に制限することを目的とする。さらに、宇宙背景放射から得られた宇宙論パラメータと本研究の結果を比較することで、宇宙の標準模型の検証を行う。
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研究実績の概要 |
宇宙の大規模構造が引き起こす弱重力レンズ効果による遠方銀河像の歪みは、光では捉えることができないダークマターの分布に感度をもつため、宇宙論における強力な観測対象である。本研究では弱重力レンズ効果のフーリエ空間における3点相関関数(バイスペクトル)を測定することで従来の2点相関関数(パワースペクトル)の測定では得られなかった宇宙論的情報をデータから引き出し宇宙論パラメータを制限することを目的としている。実際の観測データでは手前にある明るい星などによってデータが得られない点があるため、単純にデータをフーリエ変換してパワースペクトルやバイスペクトルを測定すると観測領域の形状とデータが混ざり合った不正確な結果が得られてしまう。この問題を解決するために、従来のパワースペクトルの測定ではPseudo-Cl法と呼ばれる手法が用いられてきた。この手法では測定した統計量から観測領域の形状の効果を取り除くことができるが、計算量の観点からバイスペクトルへの拡張は難しいと考えられる。そこで本研究では、従来のPseudo-Cl法とは異なる、尤度関数を利用して導出できる測定手法の開発に取り組んだ。本年度は特にパワースペクトルについて当該手法の開発を行い、その精度を検証した。検証の結果、従来のPseudo-Cl法と同程度の精度でパワースペクトルが測定可能であることがわかった。さらに、開発した手法を発展させ、バイスペクトル測定パイプラインの開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宇宙の大規模構造による弱重力レンズ効果のバイスペクトル測定に直接つながるパワースペクトルの測定手法を開発し、精度の検証までを完了できたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に開発と精度検証を行った弱重力レンズ効果のパワースペクトル測定手法を発展させ、バイスペクトルの測定コードの開発と精度検証を行う。十分な精度を有した測定コードが開発でき次第、すばるHyper Suprime-Camの観測データに適用し、実際の観測データからバイスペクトルの測定を行う。得られたバイスペクトルを理論モデルと比較することで宇宙論パラメータの制限を行う予定である。
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