研究課題/領域番号 |
22KJ1153
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補助金の研究課題番号 |
22J23077 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平島 敬也 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 超新星フィードバック / 銀河形成 / 機械学習 / サロゲートモデリング / 銀河形成シミュレーション / 深層学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、個々の恒星まで再現された超高解像度銀河形成シミュレーションの実現を目指す。これにより、史上初の「シミュレーション」と「観測」の直接比較が可能になり、太陽系など生命誕生に関わる恒星系の起源解明も期待される。実現へ向け、コードの効率的な並列化実装を、スーパーコンピュータ「富岳」上で行う。特に、深層学習を用いた映像予測を用いて、CPU間通信のボトルネックを解消する手法を開発していく。
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研究実績の概要 |
本研究では、個々の恒星まで再現された超高解像度銀河形成シミュレーションの実現を目指す。実現へ向け、コードの効率的な並列化実装を、スーパーコンピュータ「富岳」を始めとした最先端のコンピュータ上で行う。特に、深層学習を用いた映像予測を応用し、ボトルネックである超新星フィードバックを高精度・高速に再現することで、銀河形成シミュレーション全体の高速化を図る。昨年度は、超新星爆発によるシェル膨張を密度分布の変化として3次元的に予測するモデルを開発した。 本年度は、深層学習による予測を直接シミュレーションと置き換えて利用するために、密度に加えて将来の温度、3次元速度まで同時に予測可能なモデル開発を行った。学習には高解像度の超新星爆発シミュレーションの結果を用いた。高解像度のシミュレーション結果を正解ラベルとし、これまでの銀河形成シミュレーションで用いられてきた比較的低い解像度での計算結果と本深層学習モデルによる予測を比較した場合、予測結果の方が高精度であることを示した。また、この予測は数値計算と比較して約100倍高速に完了することが可能である。本モデルの銀河形成シミュレーションコードへの実装を完了し、実際に銀河シミュレーションを用いたテストを開始した。今後は、銀河の質量を拡大しつつ、これまでの数値シミュレーションでは実現不可能であった個々の恒星まで分解した天の川銀河サイズのシミュレーションを行う。以上の成果は、機械学習分野を含む国内外の研究会・学会において広く発表した。また本年度、共同研究のためにFlatiron Institute(米国)に6ヶ月以上、Harvard University(米国)に1ヶ月滞在し、モデルの改良と研究発表を広く行なった。さらに、得られた結果をまとめたものは査読論文として出版された。出版時には和文・英文にて広くプレスリリースを行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、超新星爆発の影響を受けタイムステップが短くなる粒子をリアルタイムで予測する機械学習モデルを作成し、シミュレーションコードに実装する計画であった。しかし、シミュレーション結果を直接予測するモデル(サロゲートモデル)の開発に成功し、数値計算と比較して100倍高速に予測できるだけでなく、熱エネルギー・運動量といった超新星フィードバックにおいて重要な物理量が十分保存することを示した。このモデルに関する論文は、査読つき国際会議にて発表した。また、計画通り機械学習モデルをシミュレーションコードに実装し、リアルタイム予測が可能になった。また、将来の汎用性のため、複数のアーキテクチャ上で最適化も行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、超新星フィードバックの数値計算を機械学習で置き換える手法(サロゲートモデル)を開発し、銀河形成シミュレーションコードに実装した。次年度は、このコードを用いて実際に矮小銀河のシミュレーションを行い、星形成率やアウトフローなど再現という物理的な観点から性能の検証を行う。その後、天の川銀河サイズの高解像度なシミュレーションを実行し、太陽に類似した恒星の誕生する環境を調査する。
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