研究課題/領域番号 |
22KJ1170
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補助金の研究課題番号 |
22J23323 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
谷川 みずき (2023) 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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特別研究員 |
谷川 みずき (2022) 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2025年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 432千円 (直接経費: 432千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ノルウェー語 / 一致のゆれ / 意味的な一致 / コーパス調査 / 言語学 / ゲルマン諸語 / 一致現象 / コーパス言語学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は義務的であるはずの一致が選択的に起こり、世界の言語の中でも稀なパターンをみせるノルウェー語の一致現象の全体像を量的・実証的に解明する。具体的にはノルウェー語の選択的一致現象の(a)頻度(b)機能(c)分布を明らかにする。(a)に関してはノルウェー語の一致現象が どれくらい選択的なのか、どのような社会属性の話者がどのような状況下で一致の選択をするのかをコーパス調査と聞き取り調査で明らかにする。(b)に関しては主語の有生性や個別性、社会的アイデンティの表明の他に、形容詞の意味の違いなども含めて考察する。(c)に関しては構文、主語や形容詞等の要素、話者の社会的属性による分布などを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究ではノルウェー語の一致現象の全体像を量的・実証的に解明する。ノルウェー語では、本来義務的であるはずの一致が選択的に起こり、世界の言語の中でも稀なパターンをみせる。理論言語学などの分野で研究の蓄積はあるが、この現象を包括的・量的に捉えた研究が不足している。そこで本研究は、選択的一致をみせるノルウェー語の三つの代表的な構文における一致の (a) 頻度 (b) 機能 (c) 分布を解明することを目指す。調査方法としては、コーパス調査と聞き取り調査を組み合わせ、経験的かつ実証的なデータ収集を行う。
令和5年度は、以下の概要で研究をおこなった。(A) ノルウェー語の一致現象の中で最も注目されているパンケーキ構文のコーパス調査を行った。コピュラ動詞の後に形容詞が後続する15,000例のデータを収集し、その中から該当する3,578例を摘出した。各文について、主語、形容詞および動詞の特性についてアノテートを行い、統計分析を行った。結果について議論する論文を現在執筆中である。(B)ノルウェー語の一致現象にも大きく関わる数についての研究プロジェクトに参加し、その成果を第10回International Contrastive Linguistics Conferenceで発表した。 (C) ノルウェー語の一致現象の理解に欠かせない移動表現について令和4年度に行った実験の結果を分析した。ノルウェー語の移動表現の一貫性に関して議論をした論文を東京大学言語学論集(TULIP) に投稿した。(D) 同じく移動現象について海外出版社から出版予定の論文集 Motion Event Descriptions from a Cross-Linguistic Perspectiveに論文を完成させた。(E) 育児中であるため全ての計画が実施できたわけではないが、概ね研究計画は予定通りに進捗している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 育児中であるため全ての計画が実施できたわけではないが、概ね研究計画は予定通りに進捗している。
進捗状況は以下の通りである。 (A) ノルウェー語の一致現象の中で最も注目されているパンケーキ構文のコーパス調査を行った。コピュラ動詞の後に形容詞が後続する15,000例のデータを収集し、その中から該当する3,578例を摘出した。各文について、主語、形容詞および動詞の特性についてアノテートを行い、統計分析を行った。コーパス調査の結果について議論する論文を現在執筆中である。(B) ノルウェー語の一致現象にも大きく関わる数についての研究プロジェクトに参加し、その成果を "Uniplex/multiplex pairs and frequency asymmetries in general number languages " というタイトルで第10回International Contrastive Linguistics Conferenceにおいて発表した。(C) ノルウェー語の一致現象の理解に欠かせない移動表現について令和4年度に行った実験の結果を分析した。ノルウェー語の移動表現の一貫性に関して議論をした論文 "Consistency in Norwegian motion event descriptions" を東京大学言語学論集(TULIP) に投稿した。(D) 同じく移動現象について海外出版社から出版予定の論文集 Motion Event Descriptions from a Cross-Linguistic Perspectiveに論文 "Motion event descriptions in English, German, and Norwegian" を完成させた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、以下の概要で行う。(A) パンケーキ構文に関する研究のアウトプットをする。まず、既に要旨がアクセプトされている8月26日から28日にヨーテボリ大学で開催されるThe International Conference on Cognitive Grammarでパンケーキ構文の研究を発表しフィードバックをもらう予定である。さらに論文を国際学術誌誌に出版する予定である。 (B) 副詞/叙述形容詞の一致のゆれに関するデータを収集し分析をする。コーパスで大規模なデータ収集を行い、どのような場合に一致/不一致が見られるかを分析する。(C) 主語が中性名詞であるにもかかわらず形容詞が中性形を取らない場合がある一致のゆれに関するデータを収集し分析をする。コーパスで大規模なデータ収集を行い、どのような場合に一致/不一致が見られるかを分析する。(D) 令和4年度から6年度にかけて研究した3つの一致のゆれの現象に関しての包括的な分析および一般化を行い、スカンジナビア諸語の研究および一致の類型論に貢献をする。
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