研究課題/領域番号 |
22KJ1178
|
補助金の研究課題番号 |
22J23549 (2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小森 琢磨 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | 中心体 / 細胞分裂 / 細胞生物学 |
研究開始時の研究の概要 |
砂防分裂は生物としての恒常性を保つために必須な生命現象である。そこでは、染色体分配を正確に行うために微小管と中心体からなる紡錘体という構造が形成される。そのため中心体が時空間的に制御されることは、正確な染色体分配に必要とされている。これまで、さまざまながん細胞を用いた研究から、分裂前期の中心体は接着面に対し水平で二次元的な配置をとると広く考えられてきた。一方で、正常細胞株を用いた研究では中心体が核を挟んで垂直に存在する三次元的な配置が報告された。しかし、その詳細は明らかになっていない。そこで、本研究ではこの核膜崩壊前の特徴的な中心体配置に着目し、その分子機構を解明することを目標とした。
|
研究実績の概要 |
中心体は動物細胞小器官の一つであり、細胞分裂における紡錘体の極として機能する。これまで様々ながん細胞株を対象とした解析から、分離した2つの中心体は、核の下から核を挟むように側面へと移動して核膜崩壊を迎えると考えられてきた。その一方で、正常細胞株では、核膜崩壊時にそれぞれの中心体が核の上下に配置されることも示されている。しかし、この中心体の特徴的な配置の分子機構やその意義は全くの未解明である。本研究では、この特徴的な核膜崩壊時の中心体配置の分子機構を明らかにすることを目的とした。該当年度は以下の実験を行った。 1.核膜崩壊直前の特徴的な中心体配置を決定する関連因子の同定:昨年度に発見した、この中心体配置の主要因子と複数の細胞骨格関連因子を同時に阻害する小規模siRNAスクリーニングを実施した。その結果、複数の微小管関連因子とアクチン骨格関連因子において特徴的な配置の減少が確認された。 2.ノックアウト細胞株の樹立:得られた候補因子に対し、自身が最適化した手法であるCRISPR-del法を用いてノックアウト細胞株を樹立した。これは標的遺伝子の上流・下流をターゲットとする二種類のsgRNAを同時に導入することで標的遺伝子の全長を欠損させる方法である。これにより、候補因子の”完全なノックアウト細胞株”の作成に成功した。また、これらのノックアウト細胞株では中心体の三次元配置が優位に減少することを確認した。 3.CRISPR-Cas9を用いたゲノムワイドスクリーニングの実施:上記で作成した「中心体が三次元的な配置を取りにくい細胞株」を使用し、中心体が三次元配置をとることができない条件下で細胞生存に必要となる分子を探索するCRISPR-Cas9ゲノムワイドスクリーニングを実施した。ここでは、野生型と二種類の異なる遺伝子をそれぞれノックアウトした細胞株で実施した。現在解析を進めている最中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画よりも早い段階で、中心体の特徴的な配置に関与する因子が複数獲得できた。また、ノックアウト細胞の観察結果からもそれらの信頼度は十分に高いと考えられる。さらに、CRISPR-Cas9ゲノムワイドスクリーニングからは中心体三次元配置の生理学的意義を網羅的に解析できることが期待される。以上を踏まえ、このような評価とした。
|
今後の研究の推進方策 |
候補因子による分子メカニズムの解析を引き続き行う。また、複数の細胞株(がん細胞株・正常細胞株)を用いて同様のメカニズムが働いているのかを確認する。CRISPR-Cas9ゲノムワイドスクリーニングから見出した候補分子の中から、実際に中心体が三次元配置をとることができない条件下で細胞生存に必要となる分子を同定するために、Top20の分子全てについてのKO細胞株を作製して評価する。
|