研究課題/領域番号 |
22KJ1183
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補助金の研究課題番号 |
22J40028 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 海 (2023) 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(RPD)
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特別研究員 |
伊藤 海 (2022) 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ローラシア獣類 / 鼻構造 / 鼻甲介 / 真無盲腸類 / 軟骨頭蓋 |
研究開始時の研究の概要 |
鼻は嗅覚以外にも,吸い込んだ空気を温め,冷まし,呼気の水分を再吸収する役割を担う,恒常性の維持に必要不可欠な器官である.①「哺乳 類は鼻構造を変化させ多様な環境に進出してきた」という仮説のもと,真無盲腸類をモデルとし,系統,生態,嗅覚,体サイズがどのように鼻 構造に影響しているのかを明らかにする.②有羊膜類間での鼻構造の相同性は未だ明らかでない.問題解決のため,広範な分類群の有羊膜類の 胚子標本を対象とした,現生有羊膜類間の形態比較を行う.③「絶滅単弓類は哺乳類と爬虫類の中間型の鼻構造をもつ」という作業仮説のもと ,絶滅種の鼻構造を復元し現生種のものと比較を行う.
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研究実績の概要 |
23年度の研究では、真無盲腸類(モグラ類、トガリネズミ類)の外群に属する奇蹄類(ウマ)、偶蹄類(イノシシ)、食肉類(イエネコ)、鱗甲類(ミミセンザンコウ)、翼手類(ルーセットオオコウモリ)の鼻構造の硬組織と軟組織の発生を三次元形態学的に明らかにした。本研究には、国立科学博物館および鶴見大学に所蔵されている胎子、幼体、成体の標本が使用された。鼻構造の三次元化は、標本を造影剤で染色後、μCTスキャンを行い、ソフトウェアAmiraを用いて実施された。その結果、ローラシア獣類の共通祖先では、既に複数に分岐した巨大な上顎甲介を持っていたことが示され、篩骨甲介の数は奇蹄類で独立して増えたことが明らかになった。また、各篩骨甲介の分岐は、食肉類、奇蹄類、偶蹄類、鱗甲類の共通祖先で増加していたと考えられる。これらの結果は現在、国際誌への投稿を目指して執筆中である。さらに、鼻腔内の上皮構造を知るため、神経、嗅細胞、分泌細胞の分布を調査する新たな手法を用いた研究も進行中である。先端バイオイメージング支援プラットフォーム(ABiS)の支援を受け、透明化試薬を用いた免疫染色手法を試行し、細胞分布の3Dモデル作成技術の習得に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
標本を造影剤で染色後、μCTスキャンして得たデータから鼻構造を三次元化し、文献調査で得た知見と照らし合わせた。その結果、ローラシア獣類の鼻構造、特に軟骨・骨組織のボディープランを解明することができた。
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今後の研究の推進方策 |
μCTスキャンでは観察できない鼻の上皮構造を構成する細胞(神経、嗅細胞、分泌細胞)の分布を観察するために、透明化試薬を用いた免疫染色手法を用いる。この観察により得られた細胞分布の情報から、鼻の上皮構造を3Dモデル化し、ローラシア獣類の鼻の上皮構造のボディープランを解明する。
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