研究課題/領域番号 |
22KJ1185
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補助金の研究課題番号 |
22J00136 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長江 拓也 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 種間不和合 / 植物生殖 / 花粉管発芽 / アブラナ科 / GWAS / QTL / シロイヌナズナ / 花粉 / 雌しべ / 柱頭 |
研究開始時の研究の概要 |
生物は同種間で有性生殖を行うことにより多様な子孫を残す。被子植物の雌しべ柱頭には、風や虫によって多種多様な花粉が飛来するが、「種間不和合」という仕組みによって同種の花粉から花粉管が優先的に発芽させ、種子を形成することができる。先行研究より柱頭は付着した花粉種によって複数の「種間不和合性」の仕組みを使い分けていると考えられているが、その全体像は未だ不明である。そこで、本研究ではシロイナズナとその近縁種セイヨウミヤマハタザオを用いてイメージング・生物有機化学・集団遺伝学を駆使して、この仕組みを明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
生物は同種間で有性生殖を行うことにより多様な子孫を残す。被子植物においても、「種間不和合性」という仕組みが存在することで異種よりも同種と優先的に生殖を行うことができる。被子植物の生殖過程では、雌しべの柱頭上で花粉から花粉管が発芽する。近年、この柱頭上での花粉管発芽段階において、遠縁種花粉を拒絶する雌側因子SPRI1やSPRI2が同定された。一方で、これら因子は近縁種への拒絶効果は低いことから、柱頭は付着した花粉種によって複数の「種間不和合性」の仕組みを使い分けていると考えられる。しかし、その全体像は未だ不明である。また、花粉内でどのような生理的変化が起こることで花粉管の発芽・伸長抑制が生じるのか、柱頭組織での異種抑制機構がなぜ同種花粉管には作用しないのかについても不明である。本研究では、これらの課題をアブラナ科植物のシロイヌナズナArabidopsis thalianaとその近縁種セイヨウミヤマハタザオArabidopsis lyrataを主に用いながら、雌しべ柱頭が多数の異種花粉から同種花粉を選択的に受容する仕組みの解明を目指す。 今年度は下記の実験を行った。 ①雌しべ柱頭上で近縁種花粉が受容および排除される時の動態観察 ②GWASを用いた「種間不和合性」を生み出す新規花粉因子の探索 ③セイヨウミヤマハタザオ亜種間の遺伝子多型を用いたQTL解析による責任因子の探索
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①昨年度に確立した条件を用いて、近縁種シロイヌナズナを受容するセイヨウミヤマハタザオの亜種petraeaと受容しないセイヨウミヤマハタザオの亜種lyrataの雌しべ柱頭における花粉および花粉管のライブイメージングを行った。その結果、亜種lyrata系統でもシロイヌナズナ花粉管は発芽することはできるものの、雌しべ柱頭組織内に伸長できないことを明らかにすることができた。 ②シロイヌナズナの約20系統を亜種petraeaに授粉して表現型を観察した。その結果、亜種petraea雌しべ内を花粉管が伸長する系統とそうでない系統を見出した。 ③昨年度までにBC1F1系統の解析が終了しており、さらにバッククロスを行うことでBC2F1系統を得ることができた。BC1F1系統と同様にBC2F1系統においてもCol-0花粉管が伸長する個体と発芽できない個体を得ることができた。これら植物の雌しべ柱頭を用いてRNAseq解析を行い、責任因子の絞り込みを行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は本現象を制御する因子の同定を目指す。現在、BC3F1個体を育成しており、これら個体を用いて表現型観察・RNAseqを行うことでさらに候補因子を絞り込む。絞り込んだ候補因子がシロイヌナズナ柱頭で発現している場合は、それら因子をCRISPR/Cas9法によって破壊し、表現型を観察する。また、亜種petraea柱頭上で表現型が異なっていたシロイヌナズナ系統を掛け合わせたF1植物を作出しており、F2植物を作成してQTL解析に供試して雄側因子の同定も目指す。得られた成果については、今年度内に論文を投稿する予定である。
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