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近現代の西アフリカ・イスラーム思想史研究の構築:クルアーン解釈書の分析から

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ1192
補助金の研究課題番号 22J00709 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分01030:宗教学関連
研究機関東京大学

研究代表者

末野 孝典  東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードイスラーム / スーフィズム / 西アフリカ / クルアーン解釈学 / イブン・アラビー / 文字神秘主義 / ムハンマド・ヤダーリー / アブド・アッラーフ・ブン・フーディー / イブラーヒーム・ニヤース
研究開始時の研究の概要

本研究は、ヨーロッパによる植民地支配が本格化する時代前後に生きた、西アフリカ出身のイスラーム知識人たちが時代状況に即しながら、聖典クルアーンを如何ように解釈してきたのかを明らかにすることを目的とする。とりわけ、西アフリカ内部において時代・地域・教団が異なるイスラーム知識人たちが著したタフスィール(クルアーン註解)に関する著作を蒐集し分析することで、彼らが当該地域内外の先達の著作群から如何に引用・解釈を施したのか、クルアーンに言及される宇宙論および人間論のような哲学的主題たりえるトピック群に対して、どのような解釈学的アプローチを採ったのか、の2点を明らかにする。

研究実績の概要

令和5年度は、アラビア語写本調査と二件の研究発表および一本の論文投稿を行った。8月半ばにニジェールでアラビア語写本調査を実施することを当初予定していたが、軍事クーデターの発生により計画の変更を余儀なくされた。しかし、1月~2月にモロッコの首都ラバトに置かれる国立図書館および王立図書館で実施したアラビア語写本調査では、想像以上の成果を挙げることができた。その理由としては、前年度に先行研究に基づいて作成したタフスィール著作目録をもとに写本調査に臨んだが、これまで確認されていなかったアブド・アッラーフ・ブン・フーディーのタフスィール著作『解釈の光』とその補遺作やムフタール・クンティーのタフスィール著作『クルアーンの真理に関する本質理解』といった新たな写本を発見することができたことによる。
またタフスィール学とは聖典クルアーンを解釈する学問である以上、当然そこには神が明瞭なアラビア語というかたちで啓き示したコトバをどのような立場から理解しようとしてきたのかが重要な論点となる。要するに、神のコトバの意味を探究するに際して、文章・単語・文字のいずれかのレベルでクルアーンを解釈するという事態が起こる。その最小単位であるアラビア語の個別文字がどのように神秘的に解釈され得るのかを理解するための視座を得るべく、サハラ以南アフリカの思想家たちの間でも言及があり、文字神秘主義に造詣が深いイブン・アラビーとアブドゥルカリーム・ジーリーの二人の神秘思想家を取り上げ、上記の内容に関する二件の研究発表を行った。これらの研究発表を通して、報告者は基本的な文字解釈の議論の組み立てかたをある程度理解することができたと考えている。加えて、イブン・アラビーによるワーウ文字に対する神秘的解釈を考察した学術論文を一本掲載することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

先述の通り、当初の研究計画を変更する必要が生じたが、本研究課題で取り上げる3名の思想家タフスィール著作をひとまず全て入手することができ、順調な滑り出しといえる。また本研究課題に関連する文字神秘主義についての論文を執筆し投稿することもできたため。

今後の研究の推進方策

これまでに蒐集したタフスィール著作群の読解・分析を進めていく予定である。具体的に言えば、クルアーンを解釈する立場が明瞭に現れる章句として知られる第3章第7節に焦点を当てることで、それぞれの思想家ごとの解釈上の立場を明らかにする。さらに各タフスィール著作がどのような先達の著作群を引用していたのか、それに依拠しながら解釈を施していたのかを整理する。こうした作業を通じて、西アフリカにおいてクルアーンを解釈する際の主要なトピック群を明らかにすることを目指す。また必要に応じてナイジェリアやモロッコなどでアラビア語写本調査を実施する予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 「神と世界を繋ぐ:イブン・アラビーによるワーウ文字に対する神秘的解釈に着目して」2024

    • 著者名/発表者名
      末野孝典
    • 雑誌名

      中央大学アジア史研究

      巻: 48号 ページ: 1-28

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 〈書評〉森本一夫・井上貴恵・小野純一・澤井真(編)『イスラームの内と外から――現鎌田繁先生古稀記念論集』ナカニシヤ出版 2023年 x+668 頁2024

    • 著者名/発表者名
      末野孝典
    • 雑誌名

      イスラーム世界研究

      巻: 17 ページ: 374-384

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] タアリーフを捜し求めて2023

    • 著者名/発表者名
      末野孝典
    • 雑誌名

      UTCMS ニューズレター

      巻: 23号 ページ: 8-10

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 「文字の形而上学:アブドゥルカリーム・ジーリーの文字解釈を事例に」2023

    • 著者名/発表者名
      末野孝典
    • 学会等名
      第2回東西イスラーム思想研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「文字と神秘:イブン・アラビーによるワーウ文字に対する神秘的解釈に着目して」2023

    • 著者名/発表者名
      末野孝典
    • 学会等名
      2023年度白東史学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「イブン・アラビーの言説的伝統を読み解く――イスラーム世界の西の視点から」2023

    • 著者名/発表者名
      末野孝典
    • 学会等名
      2023年度スーフィズム・聖者信仰研究会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-28   更新日: 2024-12-25  

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