研究課題/領域番号 |
22KJ1221
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補助金の研究課題番号 |
21J40085 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
間野 陽子 東京学芸大学, 教育学研究科, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 視点取得 / 自閉スペクトラム症 / 心の理論 / 特別支援教育 / 認知心理学 / 授与動詞 / 文章読解 / 生理指標 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉スペクトラム症者は、他者の視点に立ってその人の心的状態を推測することが困難であると考えられる。他者の視点に立つことを視点取得というが、視点取得の困難さは、他者中心視点から自己中心視点、自己中心視点から他者中心視点に視点を切り替えることの困難さに起因すると考えられる。 自閉スペクトラム症者のコミュニケーションの問題を考える際に、視点取得の困難さが原因で、他者の心的状態を推測する「心の理論」の発達が遅れるのか明らかになっていない。 そこで、本研究では、視点取得のメカニズムを解明した後で、視点取得のトレーニングをすることで、心の理論を含めた社会的能力が向上するかどうかを検討する。
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研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症者のコミュニケーションの問題を考える際に、心の理論による説明を試みた研究は多くあるが、その問題点は心の理論を測定する課題に正答するには視点取得が必要なものが多く、自閉スペクトラム症者が持つ心の理論の不全が原因であるのか、視点取得の困難さが原因で心の理論の発達が遅れるのか、明らかになっていないという問題点がある。こうした問題点を解決するために、本研究では、心の理論に依存しない視点取得課題を考案し、視点取得のメカニズムを解明することを目的とする。間野ら (2022)は、文章読解における視点取得能力を検討するために、定型発達児(TD群)および自閉スペクトラム症児(ASD群)に参加していただき、「わたす」や「うけとる」の授与動詞を用いた実験を実施した結果、ASD群はTD群と比較して「わたす」、「うけとる」両方の授与動詞の成績が有意に低かった。さらに、正答数を目的変数とし、年齢、性別、ASD傾向を測定するSCQのスコアとの相関を見るために重回帰分析をした結果、年齢が上がるほど正答数が有意に多く、SCQのスコアが大きいほど正答数が有意に少ない結果となった。さらに、年齢が上がるほど正答数が有意に多く、SCQのスコアが大きいほど正答数が有意に少なかったことから、本実験の「授与動詞の正誤判断課題」は、年齢およびASDの傾向と有意に相関していることが明らかとなった。以上のことから「授与動詞の正誤判断課題」を用いた文章読解の際には、ASD児は授与動詞を理解する際に、視点取得の困難が生じることが示唆された (間野ら,2022)。令和5年度には、間野ら (2022)の実験結果をもとに実験論文への投稿準備を行った。さらに、視点取得に関する総説論文の執筆準備を行い、国内の学術誌へ投稿を行った。現在は、査読者からのコメントにもとづき再投稿へ向けての準備を進めている。
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