研究課題/領域番号 |
22KJ1223
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補助金の研究課題番号 |
22J00511 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
間枝 遼太郎 東京学芸大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 先代旧事本紀大成経 / 諏訪信仰 / 諏方大明神画詞 / 守矢家文書 / 住吉大社神代記 / 先代旧事本紀 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、従来十分に研究が進められてこなかった『先代旧事本紀大成経』等の神話系の仮託書(偽書)群について、それらを日本の神話史を形作る一つの大きな潮流として捉え、『古事記』『日本書紀』等の正統的と見なされてきた神話テクスト、およびそれら正統的とされるテクストに即した国学等における注釈の営みと並び立つ中世・近世の営為として、学術的研究の俎上に載せる。そしてそこから、『古事記』等に拠るだけでは捉えきれない神話の生成・受容・展開の営為の様相、およびそれにより醸成された人々の神話認識・歴史認識の総合的把握を試みる。
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研究実績の概要 |
1.研究実施状況: 令和5年度の研究実施状況は以下の通りである。 【1】今日まで古代史の史料として利用されてきた大祝本『神氏系図』という諏訪上社の社家(大祝)に関する系図が、実際は江戸時代に『先代旧事本紀大成経』などの影響を受けつつ成立したものであったことを明らかにした。また、同じく古代史の史料として利用されてきた『阿蘇家略系譜』という阿蘇氏の系図の諏訪関連の箇所の内容が、大祝本『神氏系図』と諏訪下社大祝金刺氏の近世系図の内容を結合させて形成されたものであることを指摘した(この成果は『国語国文研究』第161号にて公表した)。 【2】南北朝時代の北朝で作られた『諏方大明神画詞』の神功皇后三韓出兵譚における『日本書紀』の利用のされ方について検討した。中世の三韓出兵譚は『日本書紀』とは異なり「異国が攻めてくるのを迎撃する」という形が一般的になるが、『諏方大明神画詞』では『日本書紀』の文言を部分的にほぼそのまま取り入れることで『日本書紀』的な文脈に回帰している。そのことが、南北朝時代の北朝における政治課題に対応するものであったことを指摘した(この成果は『国語と国文学』第100巻第6号にて公表した)。 【3】内容的に最も古い部類に属する諏訪社の縁起書の佚文を新たに発見し、中世聖徳太子伝の影響を受ける以前の諏訪の縁起を部分的に復元した。また、同佚文から中世諏訪信仰研究に資する新たな情報を提示した(この成果は『伝承文学研究』第72号にて公表した)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は『先代旧事本紀大成経』の研究が大きく進展した。論文の公表に加え、歴史学系の学会・研究会でも口頭発表を行うことができ、また未発表の論文の投稿・執筆も進んでいる。『先代旧事本紀大成経』については、分野を越えた研究者の交流も盛んになってきており、さらなる研究の深化が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、特に『先代旧事本紀大成経』の研究について、他分野の研究者との意見交換なども通じて、さらに発展させていくことを計画している。また、全国各地における『先代旧事本紀大成経』や神代文字文献の資料調査も引き続き進め、成果を随時公表する予定である。
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