研究課題/領域番号 |
22KJ1224
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補助金の研究課題番号 |
22J11436 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
星野 佑介 東京学芸大学, 連合学校教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 繁殖干渉 / 雌雄離熟 / 外来種 / 雑種形成 / 異型花柱性 |
研究開始時の研究の概要 |
国内に広く生育する多年草のカタバミには,花形態の異なる2タイプの個体が存在する。等花柱型は柱頭と葯が近接しており,自家受粉を行いやすいが,長花柱型は柱頭と葯が離れて配置しており,他家受粉が行われやすい。本研究では,本種の花の多型の進化・維持に近縁外来種オッタチカタバミからの繁殖干渉(ある生物種が異種の繁殖を妨げること)が及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究では,近縁外来種からの繁殖干渉が,在来種の花の多型の維持・消失や自家受粉による繁殖の進化におよぼす影響を明らかにすることを目的とした。カタ バミは国内では雌しべ長が異なる2タイプの花型が存在し(等花柱型と長花柱型),また,平野部では等花柱型と近縁外来種のオッタチカタバミが同所的に生育す る。これまでの研究から,等花柱型は,在来・外来の混合花粉を受粉しても同種交配が阻害されにくく,外来種からの繁殖干渉を回避できると考えられる。一 方,長花柱型は平野部に見られず,外来種からの繁殖干渉を強く受けている可能性がある。この仮説を検証するため,(1)野外では,長花柱型と外来種が同所的 に生育,繁殖するのか,(2)長花柱型は等花柱型よりも雑種形成しやすいか,(3)長花柱型では同種交配が阻害されやすいかを調査した。 (1)カタバミと外来種の開花フェノロジーを調査したところ,カタバミの花型と外来種の分布との間に関連は見られなかった。 (2)カタバミに外来種の花粉を受粉させる種間交配を行ったところ,長花柱型は等花柱型よりも形成する雑種種子数が少なかった。また,種間交配時の花粉管伸長の動態を観察したところ,カタバミの雌しべが長いほど,花粉管が胚珠まで到達する割合が低下した。 (3)カタバミに混合花粉(カタバミ+外来種)を受粉させ,形成した種子のうち同種種子の割合を測定したところ,カタバミの雌しべ長と同種種子の割合との間に関連はほとんどなかった。 以上より,外来種からの繁殖干渉はカタバミの形態変異をもたらすほどの強い選択圧にはならないものと考えられる。しかし,長花柱型では長い雌しべが外来種の花粉管が胚珠に到達することを妨げ,雑種形成しにくい可能性が示唆された。
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