研究課題/領域番号 |
22KJ1227
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補助金の研究課題番号 |
21J20185 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
稲垣 亜希乃 東京農工大学, 大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2022年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2021年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 動物死体 / スカベンジング / カメラトラップ |
研究開始時の研究の概要 |
動物死体をめぐっては、死肉を餌資源とする脊椎動物(以下、スカベンジャー)が特有のギルドを形成する。特に、スカベンジング(死肉採食)に特化したハゲワシや種間競争にて優位に立つ大型捕食者の存在は、ギルド内のスカベンジングに影響を与え、生態系機能を評価する指標となっている。本研究では、これらの種が存在しない日本の森林生態系にて、大型動物死体をめぐるスカベンジングの仕組みを解明し、スカベンジャー各種の生態的役割や生態系の健全性を評価する。具体的には、シカ死体をめぐるスカベンジングパターンを定量化し、シカ死体をめぐる種間関係とスカベンジングに影響を及ぼす要因を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、動物の死肉を餌資源として利用する死肉食動物(スカベンジャー)の死肉採食(スカベンジング)パターンを定量化し、それらに影響を及ぼす生物的・非生物的要因を明らかにすることを目的としている。2022年度は研究計画に従い、概ね順調に研究を遂行している。 2022年5月から11月にかけて、栃木県日光市と福島県南会津町の森林内にて野外調査を実施した。野外調査は、行政機関や猟友会の協力を仰ぎ、学術および有害捕獲由来でシカ死体入手・設置し、カメラトラップ法を用いたシカ死体の分解過程のモニタリングおよび周辺環境調査を行った。2022年11月時点で計12個体のシカ死体を入手・設置し、2021年度に得たデータと合わせて、解析と論文執筆を同時並行で進めている。 また、これまで得られたデータをもとに、シカ死体のスカベンジングパターンの定量化に関する国際共著論文の執筆・投稿を進め、2022年9月にScientific Report誌にて公表された。さらに、現在はシカ死体をめぐるスカベンジャー間の種間関係に関する国際共著論文を投稿中である。研究発表の場としては、2022年9月に日本哺乳類学会、2023年3月に日本生態学会にてポスター発表を行い、自身の研究内容に関する議論を深めた。 2022年12月上旬から2023年3月上旬にかけては、国際共同研究先であるアメリカに研究室訪問をし、野外調査や解析技術、論文執筆に関する指導を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り、野外調査を通じてシカ死体の設置およびデータ収集を実施することができた。また、シカ死体のスカベンジングパターンの定量化に関する論文が受理されたほか、研究発表も順調に行うことができた。さらに、アメリカの研究室訪問を実現させ、共同研究先と対面での議論を深めることで、解析および論文執筆が大きく進展した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、6月頃までこれまでと同様の野外調査を実施するとともに、得られたデータの集計および解析を関係者の協力を得ながら夏季までに完了させる。同時に、シカ死体が脊椎動物種に及ぼす影響に関する論文およびスカベンジングに関するレビュー論文の解析・執筆を進め、年内の投稿をめざしている。研究発表の場としては、日本哺乳類学会(9月)、日本生態学会(3月)、そして国際哺乳類学会(7月、アラスカ)での発表を予定している。また、秋季から冬季にかけて、これまで共同研究を行ってきた海外の研究室訪問をすることで、研究内容に関する国際的な議論と学位論文の執筆を加速させたいと考えている。
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