研究課題/領域番号 |
22KJ1229
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補助金の研究課題番号 |
21J21876 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
暮井 達己 (2021, 2023) 東京農工大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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特別研究員 |
暮井 達己 (2022) 東京農工大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 階層構造 / 木質高分子 / セルロース集積構造体 / 圧縮特性評価 / セルロース / 重合度 / ミクロフィブリルの配向性 |
研究開始時の研究の概要 |
継続課題のため、記入しない。
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研究実績の概要 |
脱炭素社会に向け、二酸化炭素の固定と貯蔵に資する木質資源利用を既存の用途に限らず拡張していく必要がある。木材や竹材の可能性を最大限引き出すためには、材ならではの物性の起源となる階層構造の理解と活用が課題となる。それゆえ、本研究では階層構造の骨格であるセルロース集積構造体を取り出して、この集積構造体を構成するセルロースの長さや配向性が物性へ与える影響をこれまで評価してきた。当該年度では、ヘミセルロースやリグニンが材中で果たす役割を踏まえ、セルロースが形作る集積体の3次元構造と物性の関係解明を目指した。 スギ(Cryptomeria japonica)材に対し、階層構造に留意しながら非セルロース成分または多糖成分を段階的に除去した。非セルロース成分の除去は前年度までの条件を基盤としながら部分的に変更を加えた方法で、多糖成分の除去は酸加水分解処理で実施した。これらの試料を圧縮試験に供し、弾性率・強度および応力ひずみ線図に基づく破壊挙動を比較した。その結果、圧縮特性値は化学成分よりも密度や材の異方的な構造に依存すると示唆された。一方で、破壊挙動は材の異方性だけでなく化学成分の構成比も反映しており、セルロースによって形作られた3次元構造に特徴的な物性が可視化された。この物性は元の材に内包されていたものであることから、例えば本研究のセルロース材料と他の機能性物質を組み合わせると、木材の特性を一部受け継ぎながらヘミセルロースやリグニンでは発現できない全く別の特性を付与可能だと考えられる。 以上の研究成果を国内学会にて報告し、成果の公開に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は木材の階層構造を有したセルロース集積構造体において、その3次元構造と物性の関係解明を目指した。目的達成のために化学処理で構成成分比を変えた材を準備し、圧縮試験によって弾性率、強度、破壊挙動を比較した。この取り組みから構造や構成成分が圧縮特性に及ぼす影響を明らかにでき、狙い通りの成果を得た。それゆえ、進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究において、竹材や木材から階層構造を維持したまま非セルロース成分を除去し、セルロース集積構造体を取り出す技術を確立してきた。さらに、解剖学的構造が単純で構造と物性の関わりを明確化しやすい針葉樹材由来のセルロース集積構造体を用い、配向性や重合度と引張特性、あるいは組織・細胞構造と圧縮特性などの観点で材料特性を評価してきた。 本年度は研究課題を総括すべく、まずはこれまでの研究を見直し、成果報告の軸となる論文投稿に向けた追加実験を進めていく。同時に、先述のセルロース集積構造体を取り出す技術の改良として、化学処理によるセルロース重合度の低下をより抑制する方法を検討する。本研究課題ではセルロース材料の強度発現に重合度の維持が欠かせないことを既に明らかにしてきた。そこで、化学処理条件の最適化を従来の非セルロース成分の効率的な除去の視点から、重合度維持の視点に切り替えれば、より優れた物性を有する材料創出へとつながる。この考えに基づいて研究を進め、得られた成果を積極的に発信していく予定である。
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