研究課題/領域番号 |
22KJ1245
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補助金の研究課題番号 |
22J21929 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
的羽 泰世 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | パクタマイシン / 全合成 / 脱芳香族化 / アザ-ベンジル酸転位 / アザ-ベンジル酸転位反応 |
研究開始時の研究の概要 |
パクタマイシンは放線菌より単離された天然物であり、マラリアに対する強力な抗原虫活性を有することから新規マラリア薬シードとして期待されている。本研究では、新規マラリア薬シードの創出を指向し、立体制御が容易な6員環化合物に対する立体選択的な官能基化を行った後、アザ-ベンジル酸転位反応により5員環へと環縮小することでパクタマイシンの母骨格の合成を計画した。当該合成戦略はこれまで困難であった多様な構造展開を可能にするパクタマイシンの新規合成法になる。
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研究実績の概要 |
パクタマイシンは放線菌より単離された天然物であり、マラリアに対する強力な抗原虫活性を有することから新規マラリア薬シードとして期待されている。本研究では、パクタマシンの母骨格である全ての炭素原子が酸素または窒素で官能基化されたシクロペンタン環を、全ての官能基を導入した6員環化合物に対するアザ-ベンジル酸転位反応により5員環へと環縮小することで構築することを計画した。 前年度までに、パクタマイシンC4、5位に相当する置換基を有するシクロヘキサジオン誘導体に対して、メタノール中アンモニアを作用させることで、環縮小を伴う骨格転位反応が進行し、C1位α-第三級アミノ基を含むシクロペンタン環が構築できることを見出した。これにより、パクタマイシンのC1、4、5位に相当する置換基を有するシクロペンタン環を合成することができた。そこでパクタマイシンC2、3位窒素官能基の導入の検討を行った。パクタマイシンC4、5位に相当する官能基を有しており、C2、3位に二重結合を有するシクロヘキセンジオン誘導体の合成を行った後、合成した化合物に対しアンモニアを作用させた。その結果、C3位へのアンモニアの1,4-付加反応、分子内ヘミアミナールの形成が起こった後、環縮小を伴う骨格転位反応が進行し、C3、4、5位に相当する官能基を有するシクロペンタン環が得られることを見出した。しかしながら転位反応によってC1位α-第三級アミノ基を構築することができなかった。そこであらかじめC1相当するα-第三級アミノ基を導入したシクロヘキセンジオンを用いて、骨格転位反応を行うべく、脱芳香族的なα-第三級アミノ基構築について検討を行った。その結果、para-アニスアルコールの水酸基をカルバモイル化した化合物に対し、塩素化剤を作用させると、脱芳香族的な分子内環化反応によりα-第三級アミノ基を有するジエノンが得られることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、パクタマイシンC4、5位に相当する官能基を有しており、C2、3位に二重結合を有するシクロヘキセンジオン誘導体に対しアンモニアを作用させた結果、予想していた転位反応ではなく、異なる形式の転位反応が進行することを見出した。これを受け、本反応に基づく合成経路に計画を変更することとなった。新ルートには、前例のない脱芳香族的アミノ化反応が必要となったが本反応の開発は順調に進行したため、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、para-アニスアルコール誘導体の脱芳香族的なアミノ化反応によって得られたジエノンの官能基化を検討し、シクロペンタンジオンの合成を行う。得られたシクロペンタンジオンの環縮小を伴う骨格転位反応を検討し、パクタマイシンの母骨格となるシクロペンタン環の合成を行う。
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