研究課題/領域番号 |
22KJ1263
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補助金の研究課題番号 |
21J00425 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 神奈川大学 (2023) 東京工業大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
井上 翔太 神奈川大学, 工学部, 特任助教
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Riemannゼータ関数 / L関数 / 零点分布 / 極限定理 / 値分布 / ゼータ関数 / 独立性 / モーメント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的はL関数の諸々の先行研究や問題を、確率論的極限定理の収束性から理解できる理論を作ることである。L関数の値分布はLindelof 予想を背景に、零点分布やL関数に対応する数論的対象に対して重要な応用をもつ。本研究ではL関数の値分布に関する3つのテーマ、「L関数 のモーメント」、「極大点評価」、「稠密性定理」に焦点を当て研究を進める。これらは確率論的極限定理の「大偏差」、「誤差付き評価」と 呼ばれる極限定理の収束性と密接に関係していることが、近年の研究で明らかにされている。この事実を背景として、本研究ではL関数に対す る確率論的極限定理を調べる。
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研究実績の概要 |
本年度では、昨年度までに行った研究に関する論文執筆、それと並行してRiemannゼータ関数の並行移動についての確率論的性質およびRiemannゼータ関数の零点分布の研究を進めた。 Riemannゼータ関数の並行移動についての研究は、虚部方向への複数の並行移動を行い、それぞれの並行移動を施した関数たちの同時分布を考え、その漸近挙動を考察した。Riemannゼータ関数の虚部方向についての挙動は、Lindelof予想を背景として重要な研究対象であり、素数分布、零点分布と深い関係性がある。前述の同時分布は、小さい虚部の情報が、大きな虚部の情報をもつかを調べる研究であり、Lindelof予想の研究に新しい知見を与えるものである。本研究は現状では今後の方針の原案を作成しており、その原案を基に共同研究者のPankowski氏と議論を進めている状況である。 Riemannゼータ関数の零点分布については、昨年度に申請者が構築した零点分布を調べる手法を用いることで、研究を進めた。申請者はRiemannゼータ関数の偏角の値分布が、零点の分布に応用できることを明らかにし、30年以上不明だったSelbergが指摘した零点の間隔についての主張に証明を与えた。そして本年度ではRiemannゼータ関数の偏角の値分布の研究を進めることで、零点分布の研究を行った。具体的には、Tsangの偏角の極値評価をSoundararajanのresonance methodを用いることで改良し、ConreyとTuenage-Butterbaughによる零点のrギャップの結果を一部改良することに成功した。さらにこの手法を精密化することで、零点の間隔の現状の世界記録である、BuiとMilinovich、Preobrazhenskiiらの結果を改良し論文を完成させる予定である。
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