研究課題/領域番号 |
22KJ1274
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補助金の研究課題番号 |
21J21544 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
木村 優希 東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | ポリプテルス / 陸上適応 / 繊毛 / 高CO2 / 古代魚 |
研究開始時の研究の概要 |
今から3.5億年前、魚は陸上へと進出した。水中と陸上を行き来するような魚にどういった形質が備わっていたのかは未だ不明な点が多く残されている。本研究では肺呼吸可能な現生の魚類である「ポリプテルス」に着目し、 陸上で飼育した個体の器官の遺伝子発現の変化を解析した。その解析結果を元に実施した走査型電子顕微鏡によるエラ表面の観察では、ポリプテルスのエラに繊毛が存在し、陸上環境では消失することなどを明らかにした。また、血中のナトリウムやアンモニアといった恒常性の維持に関わる物質の濃度の変化と併せて遺伝子発現の変化を見ることで、水陸両生魚がいかにして陸上で生存しているかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
約3億5000万年前、一部の魚が陸上へと進出を開始した。水中から陸上へと、大きく異なる環境への適応が起きたにもかかわらず、化石記録から得られる情報は限定的である。本研究課題ではポリプテルスやハイギョといった、古くからの硬骨魚類の形質を残す現生魚類を用い、形態、生理、遺伝子発現、ゲノムといったような様々な観点から魚類の陸上適応の理解を目的としている。
水中で呼吸する魚においてエラは必須であるが、陸上進出に伴って消失していった。本研究では肺呼吸とエラ呼吸が両方可能な現生種、ポリプテルスに着目した。中でもエラの微細構造に着目し、走査型電子顕微鏡および免疫染色を用いてポリプテルスのエラにおける繊毛の存在を明らかにした。この繊毛に関して、本年度は流れを可視化することで、一方向にエラの表面上に流れを生み出す動繊毛であることを示した。また、ポリプテルスを陸上や高CO2環境といった条件下で飼育することで、その繊毛が可塑的に出現・消失することを明らかにした。遺伝子発現解析(RNA-seq解析)によって、この繊毛は免疫系や化学受容などの機能を担っていない可能性が示された。 周りの環境、特に陸上環境に応じて可塑的にエラが変化することを示した本研究は、魚類から両生類までの間に失われたエラの進化を解き明かす上で重要な手がかりであると考えている。 この研究成果は査読付き国際雑誌 Ecology and Evolution に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子発現解析によって存在と機能が明らかになったポリプテルスのエラの繊毛についての論文が、査読付き国際誌に掲載となった。 また、同時並行でポリプテルスの陸上環境下における生理機能についての研究も行っており、こちらについても進展が見られた。 ハイギョのゲノムを用いたケラチン遺伝子の進化と陸上適応の関連についての研究もデータが揃い、論文執筆の段階に入っている。
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今後の研究の推進方策 |
上述の陸上環境下におけるポリプテルスの恒常性維持機能の解析について、追加のRNA-seq解析などを実施する予定である。また、ハイギョのケラチン遺伝子に関する研究は現在論文を執筆中である。
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