研究課題/領域番号 |
22KJ1275
|
補助金の研究課題番号 |
21J21969 (2021-2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
村松 達也 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | メカノフォア / 超分子化学 / 刺激応答性材料 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、メカノフォアと呼ばれる機械的刺激に対して様々な応答を示す分子骨格が盛んに研究されている。申請者らのグループは、微弱な力に応答でき、かつ高い可逆性を示すロタキサン型超分子メカノフォアを開発してきた。しかし、合成にかかるコストが高く、また合成が煩雑であるため、大量生産に適していなかった。これらの問題を克服するため、本研究では、機械的刺激により環状ホスト分子の金属イオンの包含・放出を制御することで、新たな超分子メカノフォアの開発を目指す。また、超分子メカノフォアが機械的刺激に対して発光特性変化を示すために必要な力の大きさを一分子レベルで定量評価する方法の確立も目指す。
|
研究実績の概要 |
蛍光団を有する環状ホスト分子では、金属イオンの包含・放出に伴って発光特性が変化する。本研究では、環状ホスト分子に機械的刺激を印加することで、金属イオンの包含・放出を制御し、発光特性変化を誘起させる新たな超分子メカノフォアの開発と、その機械的刺激に対する発光挙動の評価を目的としている。 昨年度、環状ホスト型の超分子メカノフォアの機械的刺激に対する発光挙動を精査する際に必要となるハイドロゲルの作成法と、そのハイドロゲルに超分子メカノフォアを導入する方法を、ロタキサン型超分子メカノフォアを用いて検討していたが、本年度もその検討を引き続き行った。検討の結果、ロタキサン型超分子メカノフォアをハイドロゲル中に導入することに成功し、そのハイドロゲルの機械的刺激に対する発光挙動を精査した結果を学術論文としてまとめた。本結果から、疎水性の高いポリマー中よりも親水性のハイドロゲル中のほうが、ロタキサン型超分子メカノフォアの発光挙動が改善されることが分かり、親水環境下でのロタキサン型超分子メカノフォアの活用が期待される。また同時に、本研究で確立した超分子メカノフォアの導入方法は、環状ホスト型分子の超分子メカノフォアをハイドロゲルに導入する際にも役立つ。 また、昨年度の1月から今年度5月まで、スイス政府主催の留学支援プログラム(Young Researcher’s Exchange Program between Japan And Switzerkand 2021)を利用し、C. Weder教授の研究室に滞在していため、本留学期間中に進行していた研究テーマを引き続き行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、昨年度に引き続き、環状ホスト分子を用いた超分子メカノフォアの機械的刺激に対する発光挙動を精査するために必要なハイドロゲルの合成法について検討した。この検討において、ロタキサン型超分子メカノフォアを用いることで、ハイドロゲルに超分子メカノフォアを導入する方法を確立できた。得られたハイドロゲルの機械的刺激に対する発光挙動を精査したところ超分子メカノフォアに関する新たな知見を得ることができ、その成果をまとめた論文を報告した。一方で、本研究の主題である環状ホスト型のメカノフォアの合成には未だ難航している。また、原子間力顕微鏡と全反射照明顕微鏡を用いた、超分子メカノフォアの力に対する発光挙動の解析法の確立にも難航している。以上の理由から「やや遅れている」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、環状ホスト型の超分子メカノフォアの分子設計を見直し、その合成を試みる。また、この研究に並行し、原子間力顕微鏡と全反射照明顕微鏡を同時に用いて、超分子メカノフォアの発光特性変化を誘起するために必要な力を一分子レベルで解析する手法を確立する。特にサンプルの作成法について重点的に検討する予定である。
|