研究課題/領域番号 |
22KJ1292
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補助金の研究課題番号 |
22J00260 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 (2023) 東京工業大学 (2022) |
研究代表者 |
辰馬 未沙子 (2023) 国立研究開発法人理化学研究所, 数理創造プログラム, 研究員
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特別研究員 |
辰馬 未沙子 (2022) 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 惑星形成 / 微惑星形成 / ダスト / シミュレーション / 数値シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
惑星はどのように形成されるのだろうか?惑星形成とは、0.1 μmの固体微粒子(ダスト)から1000 kmを超える惑星までの、13桁を超えるサイズ成長過程である。この成長過程においては、まずダストが一様に集合した「一様集合体」が形成されると理論的に考えられているが、この一様集合体は天文観測や太陽系探査の結果と整合的でないという問題を抱えている。そこで、本研究ではダストが0.1-1 mm程度に密に集合したものがゆるやかに集合する「階層集合体」に着目し、この形成過程の検討や強度の数値シミュレーション方法を確立することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、天文観測や太陽系探査と整合的な惑星形成論を確立するため、0.1 μmの大きさの固体微粒子(ダスト)が0.1 mm程度の大きさに密に集合し(ペブル)、そのペブルがさらにゆるやかに集合するという「階層集合体」に着目している。今年度は、(1) ペブルそのものの形成過程の検討を行い、(2) ペブル同士が衝突により付着したときに形成する接触面の半径のモデルを作成した。 (1)では、天文観測により明らかとなっているペブル内部密度から、一度100 kmほどの大きさの微惑星まで成長し、その破片としてペブルが形成されたという仮説を検証した。ダスト集合体の圧縮強度モデルを用い、天体内部の重力と圧縮強度による力のつりあいを計算し、ダスト集合体のバルク密度と半径を求めた。その結果、天文観測より明らかとなっているペブル内部密度を説明するには、一度微惑星まで成長しその自己重力で圧縮される必要があることがわかった。本研究に関して国際会議での口頭発表を1回、ポスター発表を2回行い、他の研究者からのフィードバックを得た。さらに、国際会議での発表を元に書いた論文を国際学術誌へ投稿し、現在査読中である。 (2)では、数値シミュレーションを用いて求めたペブル間の接触面半径と、モデルより求めた接触面半径を比較し、モデルの妥当性を検証した。ペブルが初期に持っていた運動エネルギーが、圧縮のために消費するエネルギーに全て変換されるというモデルを用いて、シミュレーション結果をよく説明できることがわかった。本研究に関して国内会議での口頭発表を2回行い、他の研究者からのフィードバックを得た。現在は国際学術誌へ投稿するための論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、天文観測や太陽系探査と整合的な惑星形成論を確立するため、0.1 μmの大きさの固体微粒子(ダスト)が0.1 mm程度の大きさに密に集合し(ペブル)、そのペブルがさらにゆるやかに集合するという「階層集合体」に着目し、その形成過程の検討や数値シミュレーション方法の確立を目指している。ペブルの形成過程の検討については、今年度でほとんど完了している。数値シミュレーション方法については、ペブル同士の接触相互作用モデルの基礎となる接触面半径のモデルが確立された。これらの状況をふまえて、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、(1)ペブル同士の接触相互作用のモデル作成と、(2)階層集合体(ペブルの集合体)としてのダスト成長理論の確立を行う。 (1)については、私がすでに使用している計算コードを用い、ペブル間の接触相互作用をフックの法則とバネ定数を用いて記述し、弾性体として可逆的にふるまう臨界変位を求め、論文にまとめて発表する。このように、ペブルをマクロな弾性体に近似して階層集合体を取り扱うことで、計算コストの大幅な削減が可能となる。 (2)については、(1)で作成したモデルで記述されるペブルの集合体、すなわち階層集合体を作り、天体への応用に向けた基礎的な量として、3種類の物質強度である圧縮強度、引張強度、せん断強度を数値シミュレーションにより求める。そして、研究結果を論文にまとめて発表する。さらに、その応用として、圧縮強度と自己重力がつりあうときの直径と内部密度を計算し、太陽系小天体や一様集合体の結果と比較し、論文にまとめて発表する。
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