研究課題/領域番号 |
22KJ1298
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補助金の研究課題番号 |
22J10875 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
梅寺 倖平 東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | ペプチド模倣分子 |
研究開始時の研究の概要 |
酵素や受容体の基質結合部位を標的とした低分子医薬品は、芳香族化合物を基盤として開発されてきており、直線的・平面的な分子構造に偏っている。近年、注目を集めるタンパク質間相互作用阻害剤の開発においては、より複雑な置換基配置を可能にする母骨格の開発が望まれる。本研究では、芳香族化合物に代わり、三次元性の高い複雑な医薬品母骨格を開発し、複雑な置換地配置を可能にすることを目指す。さらには、タンパク質間相互作用面におけるペプチドの結合様式の模倣を可能とすることで、低分子阻害剤の創出に挑戦する。
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研究実績の概要 |
従来の低分子医薬品は、芳香族化合物を基盤として開発されてきており、その構造は直線的で平面的なものに偏っている。これら医薬品は、酵素や受容体を治療標的とし得た一方、タンパク質間相互作用といった明確な基質結合部位をもたない標的に対しては、医薬品候補として有望な化合物の取得が困難になっている。これまで利用頻度の少なかった三次元性の高い骨格を分子設計に取り入れることは、分子の構造を多様化し、新規生物活性分子の創出が期待できる。本研究は、三次元性の高い骨格の中でも、架橋構造をもった籠型骨格を開発し、これを母骨格としたペプチド模倣分子へと応用するものである。籠型骨格は、その立体配座が強固に固定されていることから、標的選択的な分子設計を可能にすることが期待できる。そして、多様なペプチド構造を模倣するためには、ペプチド模倣分子の母骨格もまた、多様な置換基を導入できることが望まれる。本年度においては、このような籠型骨格として、三つの異なる置換基を導入できる新規四環性骨格の開発に成功した。そして、開発した新規骨格は、多様な置換基導入を可能にしているのみならず、アミノ酸を出発物質として構築することで、鏡像過剰率97%での合成を達成している。医薬品開発において、エナンチオマーは互いに異なる生物活性を示し得ることから、本骨格の合成法の有用性は高いと考える。今後も、籠型骨格の開発を継続し、タンパク質間相互作用阻害剤の開発を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に計画したように、医薬品開発に有用な三次元骨格の構築を達成しており、本研究計画はおおむね順調に進展していると考える。開発した三次元骨格は、アミノ酸を出発物質としており、医薬品開発において重要な不斉合成を達成している。また、本骨格に対し、異なる三つの置換基を導入する方法を確立したことにより、本研究目的であるペプチド模倣分子の設計を可能にした。実際に、フェニルアラニン残基やロイシン残基を模倣した置換を導入すると、ヘリックス構造をとるペプチドと分子構造を重ね合わせることができることを確認できた。得られた化合物についてがん細胞の増殖抑制活性を測定したが、強い活性を示す化合物は得られなかった。更なる活性の向上を目指して、ペプチド模倣分子開発を継続する必要があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、おおむね順調に進行していると判断している。しかしながら、開発した三次元骨格は、工程数が長く、活性の向上を目指した合成展開が困難である課題が明らかとなった。しかしながら、アミノ酸を出発物質として利用することで、複数の置換基導入を可能にする三次元骨格の構築が達成できることを明らかにした点において大きな意義があった。このことを踏まえ、アミノ酸を出発物質としつつ、より工程数の短い籠型骨格の開発を目指す。籠型骨格自身が短工程で構築できるようになれば、タンパク質と実際に相互作用を確立する置換基の選択がより柔軟に行なえると考える。
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