研究課題/領域番号 |
22KJ1327
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補助金の研究課題番号 |
22J20008 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分60020:数理情報学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
西島 光洋 東京工業大学, 工学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 数理最適化 / 一般化完全正値錐 / 一般化共正値錐 / 面的構造 / 対称錐 / 近似階層 |
研究開始時の研究の概要 |
現実問題の多くは、2者間の選択を表せる0-1制約や、データの低次元構造を表せる階数制約など、組合せ的ないし非凸な制約を含む最適化問題として定式化できる。しかし、そのような問題は厳密な最適化が困難だという難点がある。 一般化完全正値計画問題とは、組合せ的ないし非凸な制約を含むゆえ解くのが困難だと考えられている多くの問題に対して、錐線型計画の枠組みを通して、統一的な表現を与えることができる問題クラスである。本研究では、その一般化完全正値計画問題を計算機で効率的に最適化するための理論および解法の開発を目的とする。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、一般化完全正値計画問題およびそれと双対の関係にある一般化共正値計画問題の制約に現れる一般化完全正値錐および一般化共正値錐の面的構造と近似の2点に着目して研究を実施し、具体的に以下の研究成果を得た。 面的構造に関する1つ目の研究として、非負象限錐上の完全正値錐および共正値錐を包摂する幅広いクラスの閉凸錐の「面の最長の鎖の長さ」と「多面性への距離」という値がいずれも、理論上取りうる最大の値に一致することを示した。本結果は、完全正値錐や共正値錐の他に、二重非負錐およびその双対錐、近似階層、さらには量子分野との関連がある完全正値半正定値錐にも適用可能である点で、汎用性はかなり広い。面的構造に関する2つ目の研究として、対称錐上の一般化共正値錐の面的構造を調査した。まず、対称錐の面を用いて、対称錐上の一般化共正値錐の面を単射的に構成できることを示した。これは、対称錐上の一般化共正値錐の面的構造が、対称錐自身の面的構造よりも複雑であることを示唆する。さらに、この結果を利用して、対称錐の次元が2以上のとき、対称錐上の一般化共正値錐が「面露出」と呼ばれる性質を決して満たさないことを明らかにした。以上2つの研究成果は現時点で査読付き国際雑誌に投稿中であるが、査読前論文としてインターネット上に公表し、さらに国内学会で3回および国際学会で1回発表した。 近似に関する研究は、令和4年度から継続して取り組んでいたものである。令和5年度に入ってからは、査読報告書に基づき論文を改訂し、査読付き国際雑誌に採択された。加えて、国際学会でも2回発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般化完全正値錐および一般化共正値錐の面的構造を複数の角度から調査することによって、一般化完全正値計画問題および一般化共正値計画問題の最適化のしやすさに関連する基礎的な知見(結果としては、最適化のしにくさを支持する示唆)を得ることができた。そして、これらの研究成果はいずれも査読付き国際雑誌に投稿中である。以上の理由から、本研究課題はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、令和5年度中に投稿した2本の論文をいずれも査読付き国際雑誌に採択させることを目指す。また、令和5年度中に実施した研究を通して、一般化完全正値錐および一般化共正値錐、ならびにそれらの錐をクラスとして包摂する凸錐の幾何学的性質に関する新たな興味深い話題が生じた。そこで、令和6年度も引き続き統計数理研究所の特別共同利用研究員制度を活用し、凸錐の幾何学に造詣が深いブルノ・フィゲラ・ロウレンソ准教授から研究指導を賜ることで、研究を遂行する。また、一般化完全正値計画問題および一般化共正値計画問題を効率的に最適化するための解法の開発にも取り組む。そして得られた研究結果は、論文や学会発表を通して、積極的に対外発表を行う。
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