• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

冷却駆動乱流とダストの共進化に着目した新しい氷・岩石微惑星形成モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ1337
補助金の研究課題番号 22J22593 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分16010:天文学関連
研究機関東京工業大学

研究代表者

福原 優弥  東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2024年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
キーワード惑星形成 / 原始惑星系円盤 / ガス乱流 / ダスト進化 / 数値流体シミュレーション / ダスト成長
研究開始時の研究の概要

地球を含む惑星は、若い星周りに存在する円盤(原始惑星系円盤)のダスト粒子が段階的に成長することで形成する。惑星形成は、ミクロンサイズのダストがキロメートルサイズの微惑星を形成することから始まる。このダスト成長には円盤ガス乱流の影響を受けるため、微惑星形成過程を理解するためには乱流の詳細理解が必須である。本研究では、ダスト成長を促進しうる物理機構として、ダストと共進化すると考えられている冷却駆動乱流に注目する。数値流体計算とダスト成長の理論モデルを組み合わせ、氷・岩石微惑星の形成モデルをこの共進化のもと構築することを目指す。さらに、この形成モデルが円盤・惑星観測を説明できるか検証する。

研究実績の概要

惑星は、誕生したばかりの若い星周りに存在するガスとダストの円盤(原始惑星系円盤)で形成される。惑星形成の初期段階であるダスト成長・微惑星形成過程は、円盤のガス乱流の影響を強く受ける。近年、乱流駆動源として円盤の放射冷却に起因する流体力学的不安定性が注目されている。しかし、流体力学的不安定性由来の乱流(冷却駆動乱流)がダスト成長にどういう役割を果たすのか未解明である。
本研究では、冷却駆動乱流の一つである鉛直シア不安定性(VSI)が駆動する乱流に着目し、VSIとダストの共進化について調べた。円盤放射冷却の効率が良い状況において乱流を駆動するVSIは、ダストの大きさや空間分布によって駆動領域や強度が変化する。一方で、ダストはVSI乱流によって拡散しその空間分布を変化させることから、VSI乱流とダストは相互に影響を与えうる。そこで本研究では、VSI乱流によるダスト拡散と赤道面へのダスト沈殿が釣り合う平衡状態を探索する自己整合的なモデルを構築した。このモデルは、あるダスト空間分布のもとでのVSI乱流強度を数値流体計算に基づく経験公式を用いて推定し、仮定したダスト分布を維持できるか調べるものである。その結果、ダストサイズに応じてVSI乱流とダストの平衡状態が存在することがわかった。特にダストが大きい場合は、VSI乱流がダストの沈澱を止めることができず、赤道面へ暴走沈澱しうる。これは、原始惑星系円盤の観測によって示された強いダスト沈澱を説明できる可能性がある。
加えて本年度では、VSI乱流とダストの運動を同時に解くガス・ダスト二流体数値流体計算を行い、VSI乱流とダストの共進化を調べた。その結果、乱流とダスト分布の準定常状態が存在することがわかった。また、その準定常状態がダスト量及びダストサイズに依存することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

令和5年度では、原始惑星系円板における鉛直シア不安定性(VSI)由来の乱流とダストの相互作用に着目し、VSI乱流拡散とダスト沈殿の間に平衡状態が存在するかどうか系統的に調べた。その結果、ダストが小さい場合のみに平衡状態が実現し、ダストが成長し大きくなるとVSI乱流が駆動せずダストが暴走沈殿状態になることがわかった。以上の研究成果は複数の国内/国際の学会・研究会で発表しており、このことをまとめた学術論文が査読済み国際雑誌において出版予定である。
また、昨年度はドイツの研究機関に約4ヶ月滞在し、そこに所属する研究者と新たに国際共同研究を始めた。この研究ではダスト・ガス二流体数値シミュレーションを行うことで、VSI乱流とダストの共進化過程を明らかにすることを目指す。その結果、VSI乱流が駆動するかどうかはダストの大きさと量に依存することがわかった。この研究の初期成果は既に国際学会で発表済みである。

今後の研究の推進方策

令和6年度は昨年度の研究内容をさらに発展させる。具体的には、昨年度行ったVSI乱流のダスト・ガス二流体数値流体シミュレーションについて、更なる計算の実施及び解析を進め、VSI乱流中でのダストの振る舞いを系統的に明らかにする。この結果をまとめ、査読論文として投稿することを目指す。また、ダスト量とダストの大きさによってVSI乱流の駆動領域と強度が変化する状況のもとでの円盤・ダスト進化の数値計算を行う予定である。この研究では、VSIとダストが共進化する中でのダスト成長過程を明らかにし、微惑星形成過程を解明することを目指す。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Max Planck Institute for Astronomy(ドイツ)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Two saturated states of the vertical shear instability in protoplanetary disks with vertically varying cooling times2023

    • 著者名/発表者名
      Fukuhara Yuya、Okuzumi Satoshi、Ono Tomohiro
    • 雑誌名

      Publications of the Astronomical Society of Japan

      巻: 75 号: 1 ページ: 233-249

    • DOI

      10.1093/pasj/psac107

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Vertical shear instability simulations including dynamical dust and cooling rate in protoplanetary disks2024

    • 著者名/発表者名
      Fukuhara Yuya
    • 学会等名
      Simulating Physics in Celestial Ecosystems -Star, Disk, and Planet Formation- (SPiCE)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] A self-consistent model for dust settling and vertical shear instability in protoplanetary disks2023

    • 著者名/発表者名
      Fukuhara Yuya
    • 学会等名
      Protostars and Planets Ⅶ
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 原始惑星系円盤における鉛直シア不安定性乱流下のダストの沈殿と拡散2023

    • 著者名/発表者名
      福原優弥, 奥住聡, 小野智弘
    • 学会等名
      日本惑星連合大会2023年大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Suppression of VSI-driven turbulence by dust evolution2022

    • 著者名/発表者名
      Fukuhara Yuya
    • 学会等名
      Vertical shear instability meeting
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Two nonlinear saturated states of the vertical shear instability in protoplanetary disks with vertically varying cooling times2022

    • 著者名/発表者名
      Fukuhara Yuya
    • 学会等名
      The 9th East Asian Numerical Astrophysics Meeting
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 円盤鉛直シア乱流下のダストの沈澱と拡散: 平衡状態はあるか?2022

    • 著者名/発表者名
      福原優弥, 奥住聡, 小野智弘
    • 学会等名
      日本天文学会2022年秋季年会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 原始惑星系円盤における鉛直シア不安定性乱流が示す二つの非線形状態2022

    • 著者名/発表者名
      福原優弥
    • 学会等名
      第35回理論懇シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [備考] ホームページ

    • URL

      https://sites.google.com/view/yuya-fukuhara-web

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi