研究課題/領域番号 |
22KJ1338
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補助金の研究課題番号 |
22J22725 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分62020:ウェブ情報学およびサービス情報学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
安納 爽響 東京工業大学, 情報理工学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 群集混雑 / 異常性 / 希少性 / バイアス抑制 / 密度比推定 / 混雑の継続 / 状態認識型 / 群衆混雑 / 継続時間 / 精緻化 / ライフサイクル |
研究開始時の研究の概要 |
混雑下における雑踏警備や迂回路の提示,また今日のコロナ禍における人々の密集を避けるための手段として,早期群衆混雑予報の枠組みが求められている.一方,携帯端末位置履歴に基づく人流解析の研究が近年盛んに行われているが,人々の未来の行動予定と合わせても予報可能な地点・予報の正確さが限定的であった.本研究では,携帯端末位置履歴,人々の行動予定を表す乗換検索履歴,混雑を誘発するイベント情報などを統合し,予報地点の拡大化・精緻化に取り組む.さらに,混雑会場周辺の人々の流れをモデル化し,予報の広範囲化に取り組む.
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研究実績の概要 |
本研究は群衆混雑の早期予報において,予報可能地域の空間的カバレッジを広範化させることに着目し,(1)予報の地点拡大化・精緻化,(2)予報地域の広範囲化の実現が目的である.(2)予報の広範囲化は(1)で実現される多地点での精緻な予報が前提になることから,2023年度は2022年度に引き続き(1)の実現を目指して,以下の2つについて取り組んだ. (i)「混雑の継続」を捉えることによる予報の精緻化 (2022年度より継続): こちらは,混雑が長時間継続して発生するケースにおける予報性能の向上を目指したものである.具体的には,混雑を生起フェーズ(人々が集まり始める段階),継続フェーズ(人々が混雑エリアに滞在し,混雑状態が継続する段階),終了フェーズ(イベントなどの終了に伴い人々が帰っていく段階)に分割し,各フェーズの時間長や人口増加量を明示的に学習することで,長時間継続する混雑の精緻なモデル化を行った. (ii) 異常な混雑を取りこぼさず予測することによる予報の精緻化(2022年度時の「今後の研究の推進方策」に記載したもの):こちらは,群衆混雑の"異常性"に起因する,モデルの予報性能の劣化の課題に取り組んだものである.群衆混雑を誘発するイベントの開催は非常に稀であり,データセット内に記録される混雑パターンは希少なものとなる.その際に発生する,学習データ内の混雑パターンの異常性・希少性に起因した予測モデルのバイアス増大による性能劣化を抑制するため,密度比推定の技術を活用した手法の定式化し,プログラムの実装を行った. (i), (ii)の話題はどちらも実データを用いて性能を評価し,提案した枠組みの有効性をそれぞれ検証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記す通り,2023年度は2022年度からの継続である(1)の話題について,(i), (ii)に細分化し取り組んだ.(i)の研究内容に関する論文は,当該年度に情報処理学会UBI研究会にて2件の研究報告を行い,それぞれ優秀論文賞,学生奨励賞を受賞した [1, 2].また(ii)の研究内容に関する論文は,査読付き国際論文誌 IEEE Pervasive Computingに採択・掲載された [3].そのため,進展の度合いとして「2.概ね順調に進展している」とした.
[1] 安納ら. 混雑の生起・継続・終了を考慮した状態認識型 RNN に基づく早期群衆混雑予報. 情報処理学会研究報告 第 78 回 UBI 研究発表会, 東京都, 2023.(学生奨励賞受賞) [2] 安納ら. 敵対的生成モデルに基づく 活動人口の波形描画を用いた 混雑寿命予報. 情報処理学会研究報告 第 80 回 UBI 研究発表会, 東京都, 2023.(優秀論文賞受賞) [3] Anno et al., “CityOutlook+: Early Crowd Dynamics Forecast Through Unbiased Regression With Importance-Based Synthetic Oversampling”, IEEE Pervasive Computing.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,「研究実績の概要」に示す(2)予報地域の広範囲化の課題解消に向けて,2022-2023年度に構築した情報統合技術を発展させ,地域の近接性や人の流動などを考慮可能なグラフに基づく準教師あり学習やマルチタスク学習を用いて定式化し,情報統合が困難地域においても混雑を精緻に予報可能な手法の構築を行う.また,収集された実データを用いて評価・検証を繰り返し,手法の改善を図る.
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