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ライブイメージングで解き明かすラン藻の光応答性シグナル伝達の時空間ダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ1374
補助金の研究課題番号 22J40052 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分43040:生物物理学関連
研究機関電気通信大学

研究代表者

榎本 元  電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(RPD)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード細胞極性 / 細胞運動 / シアノバクテリア / 走光性 / バクテリア / 光応答
研究開始時の研究の概要

バクテリアの細胞はよりよい環境に移動することで、変化する環境に適応することができる。ラン藻は光合成によって生育するバクテリアである。光が生育に必須であることを反映するように、ラン藻は環境の光条件に従って運動のふるまいを精巧に変化させる。本研究では主に顕微鏡 を用いて生きた細胞を観察することにより、ラン藻細胞が光を感知して運動の振る舞いを変化させるのに必要な細胞内における分子のふるまい、および細胞集団における個々の細胞のふるまいを理解することを目指す。

研究実績の概要

バクテリアの細胞はよりよい環境に移動することで、変化する環境に適応することができる。ラン藻(シアノバクテリア)は光合成によって生育するバクテリアである。光が生育に必須であることを反映するように、ラン藻は環境の光条件に従って運動のふるまいを精巧に変化させる。本研究は主に顕微鏡を用いて生きた細胞を観察することにより、ラン藻細胞が光を感知して運動の振る舞いを変化させるのに必要な細胞内における分子の ふるまい、および細胞集団における個々の細胞のふるまいを理解することを目指すものである。本年度はまず、初年度に温泉地(和歌山県の湯ノ峰温泉、奈良県の上湯温泉、北海道の定山渓温泉)で採取した微生物マットサンプルから、それぞれ好熱性ラン藻の単離に成功した。顕微鏡下での走光性運動観察をおこない、三つの種がそれぞれ外部からの指向性をもった光刺激に対して異なる運動をみせることがわかった。遺伝的要因を探るため、ゲノムDNAを単離し、PacBioによる長鎖型次世代シーケンサーをもちいてゲノムDNA解読をおこなった。ラン藻のゲノム進化の専門家であるドイツ・ダルムシュタット工科大学のProf. Marcel Dann研究室に Guest Scientistとして10月頭から3月中旬まで参画した。得られたゲノム配列を共同で解析した結果、従来知られている好熱性ラン藻とは異なるゲノムであること(最も似ていてANI=94.0%)、それぞれが相互に非常に高い相同性(ANI=99.6 or 99.7%)を持ち、かつ全体のゲノム構造がほぼ同じであることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

シアノバクテリアの走光性細胞運動の新たなモデル生物として期待される種を単離できたものの、ゲノム解析の結果からサンプルの混同が疑われることとなった。得られたサンプルを一旦保存し、再び時間のかかる単離プロセスを一から始めて結果を確認する必要性が生じた。またドイツ渡航によってゲノム解析が著しく進展したものの、当初予定していた顕微鏡観察に割ける時間が減少するというデメリットもあった。

今後の研究の推進方策

単離した好熱性シアノバクテリアのゲノム解析の結果がもし真であるなら、地理的に離れている温泉生育ラン藻の多様性が非常に限られているという興味深い結果である。しかし、これまでに公開されている温泉生育ラン藻のゲノム情報から考えると、単離プロセスのどこかでサンプルが混ざってしまった可能性が否定できない。今後は冷凍されている、採集されたばかりの未単離サンプルから定山渓温泉に絞って、再びラン藻の単離およびゲノム配列解読をおこなうことで、実験上の事故を防ぎ、研究室に順化しすぎていない新規のモデル生物として細胞運動とバイオフィルム形成について解析を進めていく予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] ダルムシュタット工科大学/フライブルク大学(ドイツ)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] フライブルク大学/マックス・プランク陸生微生物学研究所(ドイツ)

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [国際共同研究] ロンドン大学クイーンメアリー校(英国)

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] Control of light-dependent behaviour in cyanobacteria by the second messenger cyclic di-GMP2023

    • 著者名/発表者名
      Enomoto Gen、Wallner Thomas、Wilde Annegret
    • 雑誌名

      microLife

      巻: 4

    • DOI

      10.1093/femsml/uqad019

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Evidence for an early green/red photocycle that precedes the diversification of GAF domain photoreceptor cyanobacteriochromes2023

    • 著者名/発表者名
      Nibedita Priyadarshini, Niklas Steube, Dennis Wiens, Rei Narikawa, Annegret Wilde, Georg K. A. Hochberg, and Gen Enomoto
    • 雑誌名

      Photochemical and Photobiological Sciences

      巻: - 号: 6 ページ: 1415-1427

    • DOI

      10.1007/s43630-023-00387-4

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] The light-dependent induction of cell polarity and the switching of moving direction in the rod-shaped cyanobacterium Thermosynechococcus2023

    • 著者名/発表者名
      Gen Enomoto
    • 学会等名
      International Conference On Tetrapyrrole Photoreceptors Of Photosynthetic Organisms (ICTPPO) 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] シアノバクテリオクロム光受容体のカラフル化に先立つ緑・赤色光感知の実現2023

    • 著者名/発表者名
      Nibedita Priyadarshini, Niklas Steube, Dennis Wiens, 成川礼, Annegret Wilde, Georg K. A. Hochberg, and ○榎本元
    • 学会等名
      第13回日本光合成学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] カラフルな光受容体シアノバクテリオクロムの誕生における祖先配列復元を用いた分子的考察2023

    • 著者名/発表者名
      Nibedita Priyadarshini, Niklas Steube, Dennis Wiens, 成川礼, Annegret Wilde, Georg K. A. Hochberg, and ○榎本元
    • 学会等名
      第17回日本ゲノム微生物学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 祖先配列復元を用いて考察するカラフルな光受容体誕生の分子イベント2023

    • 著者名/発表者名
      Nibedita Priyadarshini, Niklas Steube, Dennis Wiens, 成川礼, Annegret Wilde, Georg K. A. Hochberg, and ○榎本元
    • 学会等名
      第47回生命の起原および進化学会学術講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] Light-dependent induction of cell polarity and switching of moving direction in a rod-shaped cyanobacterium Thermosynechococcus2022

    • 著者名/発表者名
      ○Gen Enomoto, Daisuke Nakane, and Annegret Wilde
    • 学会等名
      17th International Symposium on Phototrophic Prokaryotes
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 生態学、進化学を志向した分子細胞光生物学にむけて2022

    • 著者名/発表者名
      ○榎本元
    • 学会等名
      藍藻の分子生物学2022
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [備考] 研究者自身の個人ウェブサイト

    • URL

      https://genenomoto.github.io

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

URL: 

公開日: 2022-07-05   更新日: 2024-12-25  

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