研究課題/領域番号 |
22KJ1382
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補助金の研究課題番号 |
21J23026 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
戸井田 晴美 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2021年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 家族 / 子育て / 介護 / 虐待 / ダブルケア |
研究開始時の研究の概要 |
継続課題のため、記入しない。
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研究実績の概要 |
本研究は家族のケアの複雑性とその実態を明らかにすることが目的である。2021年度の調査結果からケアと虐待が近い位置関係にあることが示された。2022年度のインタビュー調査では、子育てや介護を担うなかで「虐待はしていないがその場面を頭で想像してしまう」など、虐待や不適切なケアとしてあらわれる行為だけでは捉えきれない領域の存在が明らかになった。以上をふまえ、ケアから虐待に至るまでの過程を理解しようとするとき、客観的事実のみでの判断には課題があり、ケアラーの持つ感情や思考など、主観的な視点の重要性が指摘できる。 2023年度の研究実施状況を以下に示す。 第1に、2022年度に分析したJGSS2005に、2021を加えて二次分析を行った結果、子育ては国家より家族の責任であるという考えが根強いことが明らかになった。 第2に、これまでケアが母親に集中しやすい状況とそれを受容せざるを得ないダブルケアの実態をみてきた。今回は逆に、母親の役割を拒否することで親子分離に至る事例について分析した。その結果、ケアを受容する親と拒否する親の双方に、ケアに対する肯定と否定という相反性が存在した。特にケアの拒否については、虐待下における家族の紐帯に研究の進展の可能性が見出された。 第3に、第2の示唆を受け、ケアや虐待に関する制度はどのように家族のケアの複雑性を捉えてきたのか検証する目的で、審議会などの資料を分析した。そこからケアに関する制度は暗黙裡に一貫して母親にその役割を期待してきたこと、虐待に関する制度は改正が重なるごとに虐待をする親への対応を強化してきたことが示された。 全体として、子育てや介護などのケアを評価しようとする際、ケアや虐待と呼ばれる行為として表層的にみえるものだけではなく、行為と思考の不一致による相反性を考慮することが、家族のケアの複雑性を解明するうえで重要であることが示唆された。
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