研究課題/領域番号 |
22KJ1388
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補助金の研究課題番号 |
22J20038 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
北谷 昌大 一橋大学, 大学院法学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 軍法史 / 西洋近世法史 / ドイツ法制史 / 戦争法 / 軍法 / 法学史 / 軍法学 / 法学者 / 軍法務官 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は近世ドイツにおける戦争および軍隊に関する法分野としての「軍法」(Kriegsrecht/ ius militare)に対する法学者の営み、とりわけその「学問化」の過程を解明する。近世ドイツの法学については法学史的研究により、法学方法論などの点で近代法学とは異なっていたことが指摘されている。この時期のヨーロッパは、断続的に戦争が生起する「平和なき」時代だったのであり、法学識者が同時代の秩序問題を捉えた法学の枠組み、法的解決の仕方を分析することによってそのような議論の法学全体における位置づけおよびその社会的現実との相互作用について明らかにすることは、近世法学の特質の解明につながる。
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研究実績の概要 |
2023年度は、ドイツ連邦共和国・ハイデルベルク大学を拠点とする在外研究を行った。本在外研究中には、 ①刊行・オンライン化されていない近世ドイツの大学講義目録につき、各地の大学図書館および文書館において現地調査を行った(対象:ハレ大学、イェーナ大学、フランクフルト・アン・デア・オーデル大学およびケーニヒスベルク大学)。本調査結果および刊行済みの関連史資料の分析により、18世紀ドイツにおける「軍法学(ius militare)」講義の形成背景、内容、展開について通時的な見通しを得ることができた。 ②ハイデルベルク大学所蔵軍法学関連文献の調査 本調査では特に、ヤーコプ・フリードリヒ・ルドウィキ(ハレ大学正教授)の手になる『軍事手続入門』(1715年)およびヨーハン・シュテファン・ダンコによる『軍法の簡潔な綱要』(1725年)の撮影、分析を進めた。この2点は①の分析結果より、18世紀ドイツの大学法学部における軍法学講義の教科書として用いられたことが分かっている。①および②の成果により、18世紀前半のプロイセンでは、それに先立つ軍法学の理論化を踏まえて、軍法務官の養成を目的とする軍法学講義が安定して開講されたことを裏付け、「平和なき近世」における法学の性格の一端を解明することができた(「18世紀前半のドイツにおける『軍法学』(ius militare)の形成」(『法と文化の制度史』第5号、査読有、受理済、2024年刊行予定))。 ③各種学会参加により研究交流を行った。第27回若手法史家大会(於サライェヴォ大学)にて、近世ドイツにおけるローマ軍法の継受に関する口頭報告を行った。 ④このほか、近時の軍法、戦争法および軍事思想に関する史資料の入手・分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
在外研究においては、大学講義目録および軍法、軍事手続に関する基本文献の収集・分析をおおむね完了できた。また、近時の戦争法・軍事思想に関する文献の入手を進めた。 他方で、調査の過程で明らかとなった、近世ドイツにおける軍法学の形成に対する後期人文主義からの影響についての分析は完了していない。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度には、収集した法学文献の分析を進め、近世軍法学の学説史を再構成する。 これと並行して、ヨーロッパ後期人文主義における軍事論を踏まえ、軍法学形成の契機を明らかにする。これらの分析を通じ、軍法およびその学問化という現象をヨーロッパ法史に位置付ける。
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