研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、ヒト体内に存在するウイルスの網羅的検出を行う解析パイプラインを用いて、次世代シーケンサーのデータを解析することで、ヒトの疾患に関連したウイルスや健常人に存在するウイルスを網羅的に同定する。さらに解析を進めることで、ウイルスがヒトに与える影響や、ウイルス間相互作用を調べる。本研究を行うことで、ウイルスとヒトとの新規の関連がより詳細に理解され、生態学的にも、臨床的にも重要な知見が明らかになることが期待される。さらに、バイロームをはじめとした、ウイルスの多種共存を解釈するための進化生態学的な数理モデルの構築も行う。
本研究は、炎症性疾患の一因となるウイルスの網羅的同定、および、感染症疑い、だが、未鑑別の臨床検体の原因ウイルスの網羅的探索を目的とした。初年度は、申請者が構築したバイローム解析パイプラインの改良を行い、新たに、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ゲノムを含むウイルスゲノム配列、細菌ゲノム配列、ファージと内在性レトロウイルスのリファレンス配列をリファレンスとして追加し、アップデートした。結果、現行の計算機環境では、解析に多大な時間がかかる事がわかったため、解析パイプラインを変更し、既存のより高速なメタゲノム解析ソフトウェアを用いた解析をメインに行うことにした。COVID-19の流行の影響から、新たな臨床データの提供を受けるが難しくなり、予定していた解析ができなくなったため、当初の予定を変更し、次世代シーケンスデータが登録されている公共データベース(SRA)に含まれているデータから、ヒトに関連するものを中心に解析することにした。その結果、ヒト胎盤とウイルス感染の関連が新たに見出された。二年目、三年目は、ヒト胎盤とウイルス感染の関連が新たに見出されたため、それらについてバイオインフォマティクス解析を進めた。ファージの有無で遺伝子発現変動解析を行ったが、有意な発現変動は見られなかった。また、バイロームを構成する要因として、ウイルス感染と宿主の獲得免疫に関する研究を行い、Kumata and Sasaki. PRSB 2022や学会発表を行った。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Proceedings of the Royal Society B
巻: 289 号: 1986
10.1098/rspb.2022.1437
PLoS Computational Biology
巻: 18 号: 4 ページ: 1010053-1010053
10.1371/journal.pcbi.1010053
https://www.soken.ac.jp/news/2022/20221122.html