研究課題/領域番号 |
22KJ1423
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補助金の研究課題番号 |
22J10844 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設) (2023) 総合研究大学院大学 (2022) |
研究代表者 |
酒井 啓一郎 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設), 生命創成探究センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 細胞質流動性 / トレハロース / cAMP-PKA経路 / 発芽 / 胞子 / 分裂酵母 / 休眠 / 休眠打破 / 細胞内流動性 / マイクロレオロジー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、酵母の休眠状態である胞子を対象とし、胞子が休眠から目覚める過程で細胞質の物性が変化するのか、物性の変化が細胞内機能に影響を及ぼすのかを明らかにする。従来より細胞内が混み合った環境であることは知られていたが、近年になり栄養飢餓などによって、細胞内の混み合いがさらに増すことがわかってきた。胞子は栄養飢餓に晒されており、細胞内物性が通常時とは変化していると予想された。また、物性の変化は細胞内プロセスにも影響するため、胞子内では反応が通常とは異なっていると考えられた。そこで、細胞内の物性を評価するマイクロレオロジーと細胞内の翻訳活性を評価する実験系を用い、上記の考えを検証することを目指す。
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研究実績の概要 |
細胞は様々なストレスに晒されると一時的に増殖を停止することが知られている。この現象は休眠として知られており、休眠した細胞は高いストレス耐性を獲得することで過酷な環境であっても耐え忍ぶことができる。休眠細胞は環境条件が良好になると再び増殖を再開する。休眠はこのような可逆的な増殖の停止として古くから知られているが、増殖の再開にどのような分子機構が働いているのかは、最も単純な真核生物の一つである酵母ですらほとんどわかっていない。本研究では、分裂酵母Schizosaccharomyces pombeの休眠状態である胞子をモデルとして、休眠からの目覚めの過程として知られる発芽を駆動する分子機構を解明することを目指した。近年、休眠中には細胞質の流動性が低下しており、つまり、細胞内の物質の拡散が強く制限されていることが報告されている。まず、蛍光性ナノ粒子である40nm-GEMを用いて細胞質の流動性を評価したところ、これまでの報告通り、休眠した胞子ではGEM粒子の動きが20倍程度低下していた。次に、GEM粒子の動きを発芽過程を通して観察したところ、粒子の動きが発芽の初期段階で急速に早くなることを発見した。さらに、粒子の動きがどのような分子機構によって制御されているのかを調べる目的で様々な遺伝子の変異体を用いて発芽中のGEM粒子の動きを観察した。その結果、発芽を誘導するために必要となるグルコースを感知する一連のシグナル伝達経路(cAMP-PKA経路)とトレハロースの分解経路が発芽中の細胞質の流動化に必要であることを遺伝学的に示した。実際にトレハロースは発芽の初期で急速に分解されていた。一方で、細胞質の流動性の制御に関与することが報告されていたグリコーゲンは細胞質の流動化後に分解されていた。よって、分裂酵母の発芽ではトレハロースが主に流動性の制御を担っていることが示唆された。
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