研究課題/領域番号 |
22KJ1426
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補助金の研究課題番号 |
22J12877 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
石黒 奎弥 総合研究大学院大学, 高エネルギー加速器科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2023年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 超弦理論 / 超弦現象論 / モジュライ場 / モジュラーフレーバー模型 / 特異点解消 / ランドスケープ / スワンプランド |
研究開始時の研究の概要 |
素粒子の物理を現在最も正確に記述する理論として標準模型が知られているが、一方で理論的・実験的な問題点を多数抱えているのもまた事実である。この問題点を解決し、素粒子の物理を統一的に記述しうると目されているのが超弦理論である。しかしながら、超弦理論と標準模型の整合性は未だ取れておらず、現象論に基づいた検証が必須である。本研究では、超弦理論の必要とする余剰次元空間として、よく調べられてきたトロイダル・オービフォールドから出発し、それらが持つ特異点の解消された、より一般の空間を対象とする。この特異点解消が超弦理論に基づく有効理論にどのような現象論的影響を及ぼすかを明らかにし、標準模型との整合性を探る。
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研究実績の概要 |
本年度は、トロイダル・オービフォールド上のフラックスコンパクト化が持つ対称性について、重点的に調べたと同時に、本研究課題の最終的な目的である、特異点解消の固定についても研究した。前者については、トロイダル・オービフォールド上のフラックスが3-サイクルに関して定義されるため、複素構造のモジュラー変換に呼応してフラックスも非自明に変換することで同値な物理系をつなげることができることに着目して、フラックスのもつディラック量子化条件から来る制約がモジュラー変換を非自明に破ることから、トロイダル・オービフォールドを定義する離散対称性ごとにモジュライセクターで実現される理論の対称性は非自明であると分かる。フラックスコンパクト化によるモジュライ固定では典型的に、複素構造モジュライの真空期待値はモジュラー空間の中で対称性が部分的に残る楕円点に固定される。近年取り沙汰されるモジュラー・フレーバー対称性模型では、この真空期待値が湯川結合などの現象論的パラメターに寄与する。先述の非自明な対称性の下では、対称性が部分的に残るモジュライ空間の点は非自明となる。したがってこの非自明な対称性を調べることは、現象論的な模型構築を考える上で重要である。我々は具体的な2つのトロイダル・オービフォールドについてこれを調べ、現れる非自明な対称性を部分的に残す点に固定されやすいことを実際に確認した。その点はこれまでモジュラー・フレーバー対称性模型ではあまり調べられてこなかった点であるが、元来モジュラー対称性があるところから出発しており、枠組みには入りうることから、今後の研究に重要である。また、特異点解消の固定は、理論的な部分の計算は終え、数値計算も十分に実行したため、近い将来に結果を投稿する予定である。
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