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Metazoaのバイオフィルム捕食能力を核とした膜ファウリング制御技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ1449
補助金の研究課題番号 21J23338 (2021-2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2021-2022)
応募区分国内
審査区分 小区分22060:土木環境システム関連
研究機関長岡技術科学大学

研究代表者

三輪 徹  長岡技術科学大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
キーワードMBR / 膜ファウリング / 後生動物 / バイオフィルム / 有機物負荷変動
研究開始時の研究の概要

膜分離活性汚泥法(MBR)は、コンパクトな敷設面積、安定的な処理性能、高濃度の汚泥保持が可能といった利点より、従来の活性汚泥法の代替法として導入が進められている。しかし、長期的な運転に伴う膜面のバイオフィルム形成(膜ファウリング)は膜透過性能を著しく低下させることから、MBR 最大の課題とされている。そこで本研究では、活性汚泥の食物網の最高位に位置する後生動物のバイオフィルム捕食能に着目し、後生動物を活用した膜ファウリング制御技術の開発に取り組む。

研究実績の概要

膜分離活性汚泥法(MBR)は高い排水処理性能を有しているが、膜上におけるバイオフィルム形成に伴う膜の目詰まり(膜ファウリング)が依然として主要な課題である。本研究はその課題に対し、バイオフィルム捕食能力を有する後生動物を活用した新規膜ファウリング制御技術を開発することを目的とする。本年度は、立体型メッシュ担体を無酸素/酸素MBRに導入し、膜ファウリング緩和に資する後生動物の集積培養系の確立を行った。コントロール系のMBRと比較して、立体型メッシュ担体を設置したリアクター内の活性汚泥は、Nematodes、Oligochaetes、Rotiferなどの後生動物数が優位に増加し、原位置における後生動物の集積培養に成功した。また、立体型メッシュ担体は高濃度の汚泥を保持し、上記後生動物の他、比較的大型のミミズやダニの生息も確認した。膜ファウリング誘発物質である活性汚泥上澄中の全有機物質(TOC)濃度及びタンパク質、全糖物質濃度を調査したところ、運転期間中でこれら物質は有意に減少した。さらに、活性汚泥の濾紙濾過性は約20%向上し、余剰汚泥量も大幅に削減されるなど、活性汚泥の性状は大きく改善された。したがって、立体型メッシュ担体をMBRに設置することで、活性汚泥は膜ファウリングが発生しにくい性状へと変化した。また、バイオフィルムを原位置から採取し、顕微鏡観察を行ったところバイオフィルム中には後生動物(特にNematodes)が存在し、後生動物はバイオフィルムを捕食し生存しているものと考えられた。しかし、膜ファウリングの発生頻度はコントロール系と同程度であり、膜ファウリング緩和にまで至っていない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は後生動物の棲家となる立体型メッシュ担体をMBRに導入する手法について検討した。その結果、活性汚泥中の後生動物数が優位に増加するリアクター構成及び運転条件を確立し、さらにメッシュ担体中へのNematodes, Oligochaetes, Rotiferといった後生動物の原位置における集積培養に成功した。また、メッシュ担体を設置することで、膜ファウリング誘発物質(タンパク質、全糖物質)は減少した他、活性汚泥の濾紙濾過性の向上、余剰汚泥量の減容を確認し、膜ファウリング緩和に資する活性汚泥性状を実現した。以上のことから、後生動物をリアクターに適用するための素地を培うことができたため、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後、16S rRNA及び18S rRNA遺伝子に基づく微生物群衆構造解析やバイオフィルムの詳細分析を通じて、後生動物のMBRにおける生理生態及び、バイオフィルム形成細菌への影響について評価する予定である。またバイオフィルムを真に形成する細菌の特定をすすめる。活性汚泥、バイオフィルムから生菌のみを検出する手法についても検討し、活性汚泥中やバイオフィルム中で"生きた”細菌についてのデータを集積し、後生動物がそれらを捕食する手法について検討する。現状の運転手法では膜ファウリング緩和に至っていないため、これら後生動物の生理生態についての知見を参考に、ファウリング緩和に資する運転手法や技術の開発を行う。

報告書

(2件)
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] An increase in sludge loading rate induces gel fouling in membrane bioreactors treating real sewage2022

    • 著者名/発表者名
      Toru Miwa, Yuya Takimoto, Yuki Mizuta, Masashi Hatamoto, Takahiro Watari, Takashi Yamaguchi
    • 雑誌名

      Chamosphere

      巻: 309 ページ: 136557-136557

    • DOI

      10.1016/j.chemosphere.2022.136557

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 膜面バイオフィルムを形成する微生物:細菌の特定から制御へ2022

    • 著者名/発表者名
      滝本祐也、三輪徹、幡本将史
    • 雑誌名

      膜

      巻: 47 号: 4 ページ: 218-222

    • DOI

      10.5360/membrane.47.218

    • ISSN
      0385-1036, 1884-6440
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Estimation of gel fouling cause in MBR treating real sewage2022

    • 著者名/発表者名
      Toru Miwa, Yuya Takimoto, Masashi Hatamoto, Takahiro Watari, Takashi Yamaguchi
    • 学会等名
      11th IWA International Symposium on Waste Management Problems in Agro-Industry
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 高有機物負荷条件下のMBR分離膜秒麺で発生するゲル状バイオフィルムの特徴解析2021

    • 著者名/発表者名
      三輪徹、滝本祐也、幡本将史、渡利高大、山口隆司
    • 学会等名
      令和3年度土木学会全国大会第76回年次学術講演会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] 実下水処理MBRで発生するケーキファウリングとゲルファウリングの特徴解析2021

    • 著者名/発表者名
      三輪徹、滝本祐也、水田裕貴、幡本将史、渡利高大、山口隆司
    • 学会等名
      第56回日本水環境学会年会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] Gel fouling development in MBR treating real sewage under low temperature condition2021

    • 著者名/発表者名
      Toru Miwa, Yuki Mizuta, Yuya Takimoto, Masashi Hatamoto, Takahiro Watari, Takashi Yamaguchi
    • 学会等名
      5th International Conference on Desalination using Membrane Technology
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 国際学会

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公開日: 2021-05-27   更新日: 2024-03-26  

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