研究課題/領域番号 |
22KJ1464
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補助金の研究課題番号 |
21J21407 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大野 耕平 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 海洋起源エアロゾル / 原子間力顕微鏡 / 付着力 / 波の花 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では有機物を大量に含む海洋起源エアロゾル、中でも海表面マイクロ層(SML)とその成分が濃縮した波の花に由来するエアロゾルに着目して、大気環境中における粒子の状態を評価し、その付着挙動を解明することを目的とする。波の花は強風により大気中へ拡散し、沿岸域の鉄やコンクリート製のインフラ設備などの表面に付着することで塩害の原因になると考えられている。また有毒な藻類由来の波の花が大気中へ放出された際は、その粒子を吸引することによる人体の健康リスクが懸念される。本研究はこれらの粒子が建造物へ沈着した際の塩害の原理や程度の検討、人体への影響の解明に役立つものと期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では有機物を多く含む海洋起源エアロゾル、特に海表面マイクロ層(SML)とその成分が濃縮された波の花から発生するエアロゾルを対象として、実大気中におけるこれらの粒子の状態を解明し、その付着挙動を解明することを目的としている。令和4年度は原子間力顕微鏡を用いた独自の個別エアロゾル粒子の付着力測定法を、人工海塩や単糖類、およびこれらを異なる濃度比で混ぜた水溶液から発生させた粒子に適用した。その結果、有機物が多く含まれる粒子ほど付着力が増加することが示された。さらに、フィールドにおいて採取した波の花の冷凍サンプルから発生させた粒子の結果においても、有機物が多く含まれると考えられる粒子は付着力が高い傾向にあることが分かった。また、大気中から捕集された粒子の中にも、上記の有機物を多く含む粒子と同等の付着力を持つ粒子が発見された。これらの結果を学会で発表し、学生発表賞(第27回大気化学討論会; 日本大気化学会)を受賞した。また、上記の内容は国際学術誌Atmospheric Environmentにて"Characterization of adhesivity of organic enriched sea spray aerosols by atomic force microscopy"というタイトルで論文化、出版済みである。また、今後の研究で使用するために、共同研究者とともに波の花とバルク海水、実大気中粒子のサンプリングを冬季能登半島において行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有機物の混合度合いによる付着力の違いに関する結果は論文化が済み、学会発表などを通して既に高い評価を受けている。本年度予定していた波の花のサンプリングが実施され、波の花とバルク海水、実大気中粒子を採取できたため今後の研究に必要な試料を得られた。湿度に対するエアロゾル粒子の付着力の変動を解明するための装置の改良を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はより高い湿度環境下での海洋起源エアロゾルの付着力の変動を解明することを目指す。また、実大気中粒子および波の花やSML試料から発生させたエアロゾルだけでなく、これらに含まれる有機物を同定し、その標準粒子の特性を明らかにすることも重要になると考えられる。脂質やジカルボン酸といった海洋起源エアロゾルにおいて主要な有機物粒子の付着力測定を今後行う必要がある。また、これらの粒子の弾性や表面張力といった物性にも着目し、付着力や、さらには地球環境への影響を解明することを目指す。これらの結果は国内外の学会で発表するとともに、国際学術誌での発表を行う。
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