研究課題/領域番号 |
22KJ1466
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補助金の研究課題番号 |
21J22186 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
今泉 璃城 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 植物二次代謝 / イソプレノイド / フラボノイド / 結晶構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
生物の生存に必須な代謝を一次代謝と呼ぶのに対し、ホルモンやシグナル分子などとして機能する有機化合物の生合成は二次代謝と呼ばれる.植物は,外界からの様々なストレスに対処するための戦略として二次代謝を進化させ,他の生物に見られない膨大な種類の化合物を生合成する.それらの中には,人間に対して薬理活性が知られているイソフラボンや,優れた材料特性を持つ天然ゴムなどがある. 本研究は,植物のイソフラボン及び天然ゴム生合成において、進化の過程でつくりだした酵素複合体がダイナミックに動く姿と,分子レベルでの詳細な構造を捉え、高効率な生合成の謎を解明する.
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研究実績の概要 |
本研究は,植物のイソフラボン及び天然ゴム生合成において、進化の過程でつくりだした酵素複合体がダイナミックに動く姿と,分子レベルでの詳細な構造を捉え、高効率な生合成の謎を解明することを目的としている.本年度は,高効率な生合成の鍵と考えられる代謝酵素複合体(メタボロン)の実像に迫るため,複合体の単離・精製・結晶化方法の検討を行った.条件検討の結果,カルコン生合成酵素とメタボロン構成因子Aとの複合体単離ならびに結晶化に成功し,原子分解能でのデータセットが得られた.現在,位相決定を試みている.また,採用時の年度計画に沿い,質量分析による相互作用部位同定や高速バイオAFMによる動的な構造解析も進め,メタボロン形成による効率化機構の解明を目指している.また,昨年度新規決定したトマト由来ネリル二リン酸合成酵素(NDPS1)について,基質アナログとの複合体構造を3種類決定した.本構造から,類似酵素で酵素活性への影響が示されていたC末端領域のターンオーバーに伴う動的な構造変化の可能性を示した.また,NDPS1のアポ体構造において構造的に示唆されたN末端ジスルフィド結合について種々の解析を行い,本結合が溶液中で実際に存在することを確認し,酵素活性への影響を明らかにした.さらに,昨年度報告した変異型NDPS1についても原子分解能での構造決定に成功し,生成物特性の変化に関して新たな知見を得た.NDPS1の解析結果については,複数の学会発表を行い,内1件で若手優秀発表賞を受賞した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,昨年度より継続して結晶構造解析に取り組んだ.まず,フラボノイド構成因子の一つであるカルコン異性化類似タンパク質について,1.9Å分解能での構造決定に成功した.さらに,メタボロンの一部を構成するカルコン生合成酵素とメタボロン構成因子Aとの2者複合体の単離・精製・結晶化方法の検討を行った結果,2.2Å分解能でのデータセットが得られた.メタボロン構成因子間の複合体について,これまでに報告された例はなく,現在得られているデータセットの位相決定が成功すれば,本構造が初めての例となり,極めて新規性が高い.本構造からは,ユニークな酵素活性制御機構のみならず,従来問題となっていた生物種によるメタボロン結合強度の差異を生み出す相互作用が構造的に示唆されたことから,現在相互作用部位への変異導入実験を含め,より詳細な解析を進めている.また,シス型プレニルトランスフェラーゼ(cPT)の一種であるネリル二リン酸合成酵素(NDPS1)について,基質アナログとの複合体構造を新規に決定した.本構造から,一部のcPTに保存されているC末端モチーフ構造の動的な構造変化が示唆されたことから,酵素学的な解析を進めている.続いて,架橋剤試薬を用いたメタボロン構造の構造解析について,前途した複合体単離条件を応用することにより架橋複合体の取得に成功し,LC-MS/MSによる解析の結果,架橋複合体由来と考えられるペプチドが検出され,現在解析を進めている.高速バイオAFMによる動的構造解析については,メタボロンの一部を形成する2者複合体について,2:2と考えられる像の取得に初めて成功した.同時に,結合・乖離の様子と考えられる像も取得したことから,当初計画通り進行していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方策としては,まずは昨年度,今年度に引き続き結晶構造解析を継続することで,メタボロン構成因子の構造決定を行う.今年度構造決定したフラボノイドメタボロンの一部を構成するカルコン生合成酵素とメタボロン構成因子Aとの複合体構造を元に部位特異的変異導入実験や架橋剤試薬を用いた相互作用解析を進める.また,本複合体の構造解析においては,Dry解析用に購入したPCを活用し整備した,Alphafold2による構造予測モデルを使用したことから,今後も活用していく予定である.他の構成因子についても単独及び複合体の構造解析を進めており,一部については既に結晶が得られていることから,最適化を進める.さらに,メタボロン構造の核となると考えられているP450の異種発現ならびに,膜への導入についても検討を始めている.架橋剤試薬を用いた相互作用解析については,一部の複合体構造について,架橋ペプチド断片の検出に成功したため,今後は構成因子を増やし,よりメタボロンの実像に迫りたいと考えている.そのため,フラボノイドメタボロン構成因子であるCHI,DFR,FLS,ANS糖の発現検討も進めている.また,今年度新規に決定したNDPS1の基質複合体構造についても,酵素学的な解析も進めていく.高速バイオAFMについては,基板上にタンパク質を固定する手法の検討などを進め,より鮮明の像を捉えることを目標に,種々の検討を当初の計画通り進めていく予定である.
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