研究課題/領域番号 |
22KJ1472
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補助金の研究課題番号 |
22J00973 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高橋 寿光 金沢大学, 新学術創成研究機構, 特別研究員(CPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 古代エジプト / 新王国時代 / 土器 / 編年 / 製作技術 / 交易 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では古代エジプト新王国時代に主要な交易品(ワインやオイル)の容器として用いられた「アンフォラ」と呼ばれる土器の交易網を復元し、当時の経済状況の実態を明らかにすることを目的とする。エジプト現地、欧米の博物館での一次資料の調査(考古学、X線分析)などを行い、どこで生産されたアンフォラが、どの遺跡から、どの程度出土したのかを明らかにし、交易網を復元する。そして、交易網の時期による変化から当時の経済状況がどのように変化していったのかについて言及する。新王国時代の経済についてはまだ研究の余地が残されており、本研究の意義は大きいと考える。
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研究実績の概要 |
本研究では古代エジプト新王国時代(紀元前1570年頃から1070年頃)の「アンフォラ」と呼ばれる土器の交易網を復元し、当時の経済状況の実態を明らかにすることを目的としている。 今年度は、昨年度までの調査研究によって確立した研究の基礎となるアンフォラの編年研究について、英語論文としてまとめた。この論文について2023年9月から滞在しているオーストリア考古学研究所のAston博士、Bader博士にレビューをお願いし、様々なフィードバックを得ることができ、これまでにないより蓋然性の高い編年を確立することができた。特に編年構築の際にこれまでのような土器の器形のみならず、胎土、製作技法、表面調整、寸法、マークなどの様々な側面から年代決定を行なった点について高評価を得ることができた。論文については両博士から指摘を受けた点について最終的な細部のデータを取得した上で出版する計画であったが、2024年1月から3月にエジプト現地おいて予定していた考古学的調査がエジプト政府の許可の問題から実施することができず、調査については2024年の8月に延期となったため、この調査の後に出版する予定である。 また2024年1月にはキプロス大学においてアンフォラの容量分析の手法に関するセミナーに参加し、同大学のCateloy博士から分析手法に関する指導を受けた。アンフォラの容量分析については次年度に実施する計画であり、研究の基礎を固めることができた。 その他、2023年8月にはエジプト学の国際学会「13th International Congress of Egyptologists」にて新王国時代の土器に関する口頭発表を行い、様々なフィードバックを得ることができた。特にボローニャ大学のFranzmeier博士と口頭発表の内容だけでなく、自身の研究について有益な意見交換をすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度、編年に関する英語論文を作成し、オーストリア考古学研究所のAston博士、Bader博士にレビューを受けたことで、大きく研究が進展した。これまでにない編年を構築することができ、この点は今後の研究に有利に働くと考えられる。またオーストリア考古学研究所に滞在することで、エジプトのみならず、東地中海世界全体の土器研究者とも交流を持つことができ、様々な意見交換をすることができた。特にキプロス大学のCateloy博士から容量分析の手法に関する指導を受けたことで、これまでエジプトではあまり実施されていない新たな研究に着手することができた。またキプロス大学ではGeorgiou博士を中心に青銅器時代後期から鉄器時代初期の東地中海世界のアンフォラ交易に関する研究プロジェクトを実施している。この研究プロジェクトは自身の研究内容と関連性が深く、プロジェクトの研究者たちと交流を持つことで今後の研究に有益な情報を得ることができた。なお、今年度は計画していたエジプト現地が延期となったが、来年度に今年度分も含め2回の現地調査を実施する計画であるため大きな遅れではないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は編年に関する英語論文の出版を完了し、また容量分析に関する論文についても出版する予定である。また引き続き資料の取得を目的としてエジプト現地調査を行うとともに、欧米の博物館に所蔵されている一次資料の調査を行う計画である。同様に報告された資料の集成も継続していく。これらの資料について、現地調査で明らかとなった特徴をもとに産地推定を行う。これによりエジプト全土における産地に関するデータを取得する。これらのデータを申請者が再構築した編年に沿って整理し、遺跡間の比較を行い、交易網を復元していく計画である。
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